2009 Fiscal Year Annual Research Report
非線形偏微分方程式に現れる界面運動と爆発現象の研究
Project/Area Number |
20340033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
俣野 博 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40126165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 健一 電気通信大学, 電気通信学部, 助教 (40293120)
WEISS G・S 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (30282817)
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Keywords | 非線形現象 / 非線形偏微分方程式 / 解の爆発 / 進行波 / 安定性 / 特異極限 / 界面運動 |
Research Abstract |
1.調和写像熱流の解の爆発 俣野は,2次元調和写像に付随する熱流(準線形熱方程式)の解の爆発問題を研究し,その爆発のオーダーの下からの評価を与えた(文献1).このオーダーが自己相似解のそれよりも大きいことは以前から知られていたが,実際にどれぐらいの大きさであるかは未知であった.本研究により,爆発のオーダーが予想以上に大きいことが明らかになった. 2.平面進行波の安定性の研究 空間多次元のAllen-Cahn型拡散方程式には平面波と呼ばれる平坦な波面をもつ進行波が存在する.俣野は,この平面波が有界ではあるが必ずしも小さくない摂動に対して漸近安定であるかどうかを論じた.具体的には,遠方で減衰する摂動や,概周期的な摂動のクラスを考え,摂動を受けた界面が空間全体で一様に平面波に収束することを示した(文献2).これまで平面波の通常の安定性については多くの研究がなされていたが,漸近安定性については,小さな摂動に関する結果しか知られていなかった. 3.燃焼モデル方程式の特異極限下で現れる周期進行波 ヴァイスは,燃焼理論のモデル方程式として知られる反応拡散方程式の特異極限を考察し,そこに現れる周期進行波の性質を解明した(文献3).空間周期的な媒体中に現れる周期進行波の研究は,10年ほど前からようやく本格的に行われるようになったが,燃焼モデル方程式の特異極限に関するものは,これが最初である.
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