2008 Fiscal Year Annual Research Report
次世代赤外線高分散分光器の開発と高赤方偏移ガンマ線バーストによる宇宙再電離の研究
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20340042
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 尚人 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50280566)
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Keywords | 宇宙再電離 / 銀河間物質 / 低金属量 / ガンマ線バースト / 近赤外線 / 高分散分光 / イマージョングレーティング |
Research Abstract |
本研究は、次世代の高感度な近赤外高分散分光器(WINERED)を観測用に完成させ、実際に小中口径の望遠鏡に取りつけてswift/GLAST/GBMのガンマ線バーストのフォローアップ観測の体制を構築することを目標としている。WINEREDの最大の特徴は、目標とするサイエンス(高赤方偏移の銀河間物質の吸収線分光)に必要な波長域(0.9-1.4ミクロン)に特化した高感度な高分散分光器を、非冷却でコンパクト兼可搬性のある安価な光学系で実現することにある。 初年度は、まず試験検出器(MUX)の冷却読み出しシステムを完成し、引き続き先年度までに製作が終了していた各コンポーネントを実験室において光学ベンチ上に仮りに組み上げた。実際に使用する近赤外線と波長がちかい可視光の連続光源および波長較正用光源(ネオンランプ)を用いた室内実験をすすめた結果、所定の分散とエシェルフォーマットの分光像が得られることを確認した。ここまでの成果をまとめ、2年に一度開催される天文学関係の観測装置に関する最大の国際会議SPIEで発表した(Yasui et al, Ikeda et al.,および関連した開発の発表を実績に記入した)。並行して、WINEREDの検出器に流入する熱放射を抑えるためにキーとなるサーマルカットフィルターの開発をすすめ、冷却透過率測定実験を実施した結果、目標とする10-6近くの極めて高い性能が得られていることがわかった。この結果をもとに熱流入量の詳細な計算を行い、最終的なコーティングを確定した。このR&Dの成果により、非冷却でも高感度な高分散分光が十分に実現できることが確認できたが、このような高性能サーマルカットフィルターは、各種赤外線装置にさまざまなかたちで応用されることが期待できる。また、本年度は実際の観測オペレーション時に必要となる周辺光学系について検討をすすめ、スリット交換機構・波長較正用光源出し入れ機構・スリットビューワーの3つの駆動機構の仕様を確定し、設計および関連部品の購入をすすめた。検出器周りを含めて全体の制御系の検討をすすめ、仕様を定めた。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Fabrication and testing of diamond-machined gratings in ZnSe, GaP, and bismuth germanate for the near-infrared and visible2008
Author(s)
Kuzmenko, P.J., Little, S., L., Ikeda, Y., Kobayashi, N.
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Journal Title
Proceedings of the SPIE 7018
Pages: Q1-12
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