2010 Fiscal Year Annual Research Report
SOI技術による低バックグラウンド・精密分光撮像・広帯域X線ピクセル検出器の開発
Project/Area Number |
20340043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鶴 剛 京都大学, 理学研究科, 教授 (10243007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 康夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (90167990)
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Keywords | X線天文学 / 放射線・X線・粒子線 / 半導体検出器 / SOI |
Research Abstract |
初期宇宙の銀河中心で超巨大ブラックホールが誕生する瞬間を捉え,超新星残骸や銀河団などの宇宙大規模高温プラズマの衝突によって起こる高エネルギー粒子加速を探査するためには,微弱な天体の硬X線精密分光撮像が必要である.従来の検出器では,分光能力の不足や衛星軌道上の放射線による高いバックグラウンドが問題となり,その実現が阻まれていた. そこで私たちはSOI(Silicon-On-lnsulator)技術を応用した日本独自のアナログ・デジタルICと厚いX線検出部を持つ一体型シリコンピクセルSOI検出器「X線SOIPIX」でこの困難を打ち破り,ワイドバンドX線分光撮像天文学を開拓する.今年度は下記の成果を得た. (1)高比抵抗シリコン素材を利用した厚い空乏層と裏面処理の実現(完全空乏裏面照射型の開発) a.Floating Zone法で製造した高い比抵抗素材(7kΩcm)を入手した. b.CMPと呼ぶ方法で,当初から問題になっていた裏面からの暗電流の抑制に成功した. c.以上を反映させた素子をプロセスして評価を行った(XRPIX1-FZ). d.バックバイアス30Vで空乏層厚み250μmを達成した. (2)素子レイアウトの改良(高ゲインと低ノイズの実現へ向けた開発) a.ゲイン(電荷量-電圧の変換係数)を向上させるために,X線検出部の構造の改良とCDS回路のキャパシタ向上を施した素子を設計・プロセスした(XRPIXlb-CZ). b.ゲインを3.6μV/eから2倍近くの6.6μV/eに上昇させることに成功した. c.単一ピクセル・マルチサンプリング読み出し方式の電子換算読み出しノイズを22e(rms)から14.6e(rms)に性能向上させることに成功した. 以上から順調に開発が進んでおり,平成23年度の目標を達成したと結論できる.
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Research Products
(4 results)