2009 Fiscal Year Annual Research Report
GeVガンマ線観測を機軸としたブラックホール天体のジェット放出機構の研究
Project/Area Number |
20340044
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
深沢 泰司 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (60272457)
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Keywords | 宇宙ガンマ線 / 宇宙ジェット / 巨大質量ブラックホール / 多波長観測 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、2008年打ち上けのフェルミ衛星の観測を中心に、かなた望遠鏡やX線衛星すざくとの連携観測を推進した。フェルミ衛星は順調に観測を続け、巨大質量ブラックホールからの多数のフレア増光現象を捉えた。多くの天体で、従来にない精度でガンマ線スペクトルを得たとともに、ほぼ1年以上連続的に明るさのモニターを行うことができた。同時に、かなた望遠鏡によっても連続的に可視光観測を実行し、かつてない量と質のデータを得ることができた。いくつかのフレア現象では、可視光とガンマ線の相関が見られ(論文1、学会1)、特に2009年2月に起きた3C279という天体のフレアでは、ガンマ線の増光とともに可視偏光角度が回転するという現象が見られ、ガンマ線と可視光の放射領域が同じで、ブラックホールに近くない領域で起きているとともに、ジェットの中の磁場の様子を初めてプローブできたことになる(論又2)。また、これまでのガンマ線で輝く巨大ブラックホールはジェットを真正面から見ているブレーザーと呼ばれる種族が主だったが、フェルミ衛星によって新しくジェットが真正面を向いていない電波銀河NGC1275, M87, Cen Aからガンマ線を早々と検出した(論文3、web)。ジェットからの放射は相対論的な効果によって、視線方向の放射が協調して見えるので、いろいろなジェットの角度からのガンマ線が観測できるようになったことは、ジェットの構造を解明するうえでは重要な発見であることを意味する。
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Research Products
(5 results)