2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340055
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 純 Hiroshima University, 情報メディア教育研究センター, 教授 (30130876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 知宏 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 准教授 (80301307)
国広 悌二 京都大学, 理学研究科, 教授 (20153314)
初田 哲男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20192700)
保坂 淳 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (10259872)
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Keywords | クォーク / グルーオン / QGP / 閉じ込め / QCD |
Research Abstract |
近年、超高温、超高密度状態のQCDが豊富な相を持つことが実験的、現象論的に明らかになりつつあり、このような極限状態QCDの振る舞いを格子QCDによる第一原理計算から研究することが重要となっている。またこのような極限状態ではクォークの閉じ込めが破れることが予想されており、閉じ込め機構を理解することが重要である。そのために、物理的なゲージであるクーロンゲージを使用し、閉じ込めにおいてその振る舞いが重要な役割をすると考えられているファデーエフ・ポポフ演算子の固有値の閉じ込めにおける役割を調べ、ゼロ近傍固有値が閉じ込めに大きく効いていること、またグルーオンプロパゲータが低運動量で抑制されていることを見いだした。 またクォーク自身の直接の振る舞いを調べるために、クォークプロパゲータを測定し、低温の閉じ込め相、高温での非閉じ込め相での振る舞いを調べた。クォークの質量は閉じ込め相、非閉じ込め相では大きく異なり、また特に閉じ込め相では通常の形では数値データをフィットできず、非物理的粒子の振る舞いが見られた。 また、相転移温度直上でのグルーオン物質の性質を明らかにするために、そこでのボルテックス密度を格子QCDにより計算した。自由ガスの場合と異なり、ここでも一定のボルテックス密度が観測された。このボルテックスは、グルーオン場を記述する非可換ゲージ理論の特異性の位相的振る舞いが現れたものと考えられており、この領域で重要な役割を果たすと考えられている磁気的自由度の源泉ではないかと思われる。しかし、その温度依存性は単純な振る舞いをしておらず、今後さらに考察する必要がある。
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