2009 Fiscal Year Annual Research Report
天体における炭素-ヘリウム核融合反応断面積の直接測定
Project/Area Number |
20340056
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
相良 建至 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (00128026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺西 高 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (10323495)
池田 伸夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70193208)
橋本 正章 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20228422)
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Keywords | 天体核反応 / ヘリウム燃焼 / 直接測定 / 極低バックグランド測定 / タンデム加速器 / 膜なし気体標的 |
Research Abstract |
水素燃焼を終えた星は、やがてヘリウム燃焼を始める。このヘリウム燃焼においては、3α→12C+γとα+12C→160+γの2つの反応が主であるが、α+12C→160+γ反応速度が40年の世界的競争を経ても未だに正確に測定できていない。近い将来にこの測定が可能なのは、ドイツグループと我々九大グループだけであろうと、みなされている。 H21年度には、以下のことを行った。 (1) 実質上世界一の標的厚さの、膜なし気体(ヘリウム)標的を昨年度に開発したが、その標的の有効厚さの測定を行った。タンデム加速器からのpビームを用いp+α後方散乱のαを検出して有効厚さを求め、また90°散乱のpを検出してガス圧分布も測定した。その結果、ヘリウム燃焼実験には十分な厚さであることを確認した。 (2) 次に、世界で最も低いエネルギー、Ecm=1.5MeVでのα+12C→160+γ直接測定を開始した。最大の問題はバックグランド(BG)低減である。反跳粒子分析器内壁での2回散乱・3回散乱からBGが生じる。粒子軌道解析を行い、昨年度に開発した反跳粒子分析器の可動スリット系を調整して、BGの発生を抑え、発生したBGを除去した結果、Ecm=1.5MeVでの予備的データは取れたが、まだ1/3程度のBGが残っている。 (3) このBG原因を探るうちに、静電偏向器の電極板をグリッドにすればBG発生を2桁低減できることに気付いた。目下、そのグリッド電極板を製作中である。今後1.5MeV→1.15MeV→1.0MeV→0.85MeV→0.7MeVと測定する計画で、BG低減だけが解決策がなかったが、グリッド電極板は解決策の1つである。 (4) 今後のより例エネルギーでの測定に向けて、ビーム監視系を強化し、測定系の安定制御系も設計した。 (5) この実験を韓国・チュンアン大学と共同で行うことを開始し、21年度には1人だけが5日間の実験に参加した。今後は規模を拡大し国際共同研究を広げてゆく。
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Research Products
(5 results)