2008 Fiscal Year Annual Research Report
軌道電子遷移による原子核励起メカニズムの解明とその応用
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20340061
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岸本 俊二 High Energy Accelerator Research Organization, 物質構造科学研究所, 准教授 (00195231)
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Keywords | 原子核励起 / NEET / 軌道電子遷移 / 放射光 / X線 / アバランシェ・ダイオード / 内部転換電子 |
Research Abstract |
(1)シリコン・アバランシェダイオード(Si-AD)アレイ改良およびMSM素子による検出器高速化と不感時間領域のない時間分光測定の試み:A)浜松ホトニクス(株)にSi-ADアレイ素子を特注し、ピクセルサイズを1/2:^H6×^V1mmから^H3×^V1mmとして静電容量を下げ、垂直方向にピッチ:1.1mmで2/3/2、計7個を配置、アレイ全体の立体角は拡大した。KEK・PFのビームラインBL-14Aにて、69.5keVのX線ビームによってOs粉末(金属)から放出されるL光電子(L-内部転換電子のエネルギー分布を模擬)を使ってNEET実験に適した作動条件を確認した。B)MSM(metal-semiconductor-metal)素子の高速電子線検出器としての可能性を試した。Si-ADと検出効率、時間領域などについて比較した結果、数10keVの一個の電子線によるサブナノ秒幅高速パルスを得ることには成功したが、システムの増幅度や信号/雑音比で制限され、検出効率はSi-ADの数10分の1以下となった。 (2)Os-189のNEET観測実験による時間分光システム性能の検証:オスミウム189(励起準位:69.54keV,半減期:1.6ns)を試料(Os-189濃縮度80%)として(1)のSi-ADによるNEET観測を試みた。SPring-8ビームラインBL09XUにて実験を実施、バンチ間隔23ns以上の運転モードを利用し、試料表面から放出される核共鳴散乱電子線(主にL-内部転換電子)の時間スペクトル測定を行った。また入射ビーム強度を測定しながらK吸収端エネルギー(73.86keV)を含む、72.4keVから74.1keVのエネルギー領域で入射X線エネルギーを変化させながらNEETによる原子核脱励起イベント計数測定を行った結果、予想した領域で計数値の増加を観測した。
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Research Products
(2 results)