2010 Fiscal Year Annual Research Report
軌道電子遷移による原子核励起メカニズムの解明とその応用
Project/Area Number |
20340061
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岸本 俊二 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (00195231)
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Keywords | 原子核励起 / NEET / 軌道電子遷移 / 放射光 / X線 / アバランシェ・ダイオード / 内部転換電子 |
Research Abstract |
(1)イリジウム193によるNEET微細構造分析およびエネルギー測定 イリジウムのK吸収端付近においてイリジウム193のNEETを観測した。実験はSPring-8のビームラインBL09XUにおいて実施(課題番号:2010A1147)、目的の第1は、検出効率を向上させNEET微細構造を観測すること、第2に、分光結晶の回折角度が精密に求められる装置を使って第1励起準位とNEET現象の立ち上がり(NEET端)エネルギーの絶対値を決定することであった。 第1の目的について、検出効率の向上のためX線ビームが4層の試料(I-193 99.6%濃縮、金属粉末をAl箔に塗布)を透過する構造にしたこと、一部のビームライン機器(液体窒素冷却モノクロメータの冷凍機)故障の影響でエネルギー走査時のビーム強度変動が大きかったことにより、NEET端は明瞭に観測できたものの微細構造の観測にいたらなかった。第2の目的のため、イリジウム193第1励起準位について、シリコン標準結晶(220)のラウエ配置によるボンド法測定を行った。角度校正機能を装備した精密ゴニオメータを使って正負の(220)、(440)、(660)反射の角度値から入射X線エネルギーを求めたところ、(73045±1)eVという結果を得た。この値は、これまでの文献値(77044±5)eVと誤差範囲内で一致する。K吸収端は(76111±3)eVと得られた。今回の実験ではK吸収端より(109±2)eV大きな入射X線エネルギーにNEET端が観測された。絶対値は76220eVであり、NEETモデルが示す76221eVと比べ、その差は見積もり誤差程度内に収まっている。この結果について論文を準備中である。なお、年度当初に計画した天然Ir試料を用いた実験はNEET微細構造を比較するデータが得られなかったため、取りやめた。
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Research Products
(1 results)