2008 Fiscal Year Annual Research Report
固体重水素薄膜中のサマリウムミュオン原子X線のアイソトープシフト測定
Project/Area Number |
20340062
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
STRASSER Patrick High Energy Accelerator Research Organization, 物質構造科学研究所, 研究機関講師 (20342834)
|
Keywords | ミュオン / 固体水素 / イオン源 / ミュオンX線 / イオン注入 / 希土類元素 / サマリウム |
Research Abstract |
本課題は、ミュオン移行反応により固体水素薄膜へ注入されたサマリウム同位体のミュオン原子を生成し、その同位体シフトや遷移速度に関する研究を提案するものである。ミュオン原子X線の同位体シフトは原子核の電荷分布を反映しており、原子核の形状が同位体間で大きく変化するサマリウム核種での同位体シフトの観測は、固体水素薄膜を用いたミュオン原子生成法の適用元素の拡大及び将来的な不安定核種への展開に向け、重要な試金石となる。サマリウムのミュオン原子X線のエネルギーは約4.5MeVと非常に高く、より効率的にミュオン原子を観測するため、研究の1年目には、既存のX線とガンマ線検出システムの性能向上を図り、新たに2台のゲルマニウム半導体検出器(ORTEC GMX20P4、検出効率20%)及びデータ収集用エレクトロニクスモジュールを購入した。また、既設の高性能表面電離型イオン源に関しては、イオンビームの安定性を改善するために、新しい制御システムの構築を目指しPLCを購入した。一方、既存の実験設備を用いて、理研RALミュオン施設の第4実験ポートで実験が進められた。固体重水素薄膜に注入されたわずか数ppmの安定同位体サマリウム^<148>Smと^<152>Smの実験において、ミュオン移行反応で生成したミュオンサマリウム原子の2p→1s遷移X線(約4.5MeV)が観測されると共に、球形核^<148>Smと変形核^<152>Sm間の同位体シフトも観測されるという非常に有望な結果が得られた。
|