2011 Fiscal Year Annual Research Report
LHCでの新しい物理発見に向けた散乱振幅自動生成プログラムの開発
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20340064
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
萩原 薫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (50189461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神前 純一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (60169787)
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Keywords | LHC / リニアコライダー / 散乱振幅の自動計算 / イベントジェネレーター / MadGraph / HELAS / ヒッグス機構 / GPU |
Research Abstract |
本研究の目的は、2009年度に実験が開始された欧州原子核研究機構(CERN)のLHC加速器で観測される新しい物理のシグナルとバックグランドの高速シミュレータを開発して、LHC実験グループと全世界の素粒子研究者の用に供することである。 新システムはLHC実験解析でも広く利用されているMadGraph/MadEventをベースとして開発し、コンパクトで安価な並列計算を可能にするグラフィックカード(GPU)上での高速シミュレーションを実現した。高速化の分野での今年度の最も重要な進展は、昨年度までに実現した物理過程生成断面積の高速計算を逐次改良型モンテカルロ積分として実施することで、効率の高いLHCに於ける事象生成プログラムを実現する目処が立ったことである。現在発表論文を準備中である。 LHCの初期の多重ジェット生成データを用いて散乱振幅とパートンシャワーの接続を自動化し、主な素過程のソフトウェアコードの最適化等により、更なる高速計算を実現するという目標に関しては、様々なパートンシャワープログラムを検討した結果、摂動QCDの様々な不定性を評価できる新しいパートンシャワーを独自に開発する必要性が明らかとなり、基礎的な研究を開始した。KEKの理論研究者との共同研究としてこの研究を推進し、2011年10月24日から29日に韓国高等研究所KIASで開催されたMadGraphスクールで成果発表を行った。 素粒子の標準理論を越える新しい物理模型に基づく新たな散乱振幅の計算パッケージを高速シミュレーションシステムの付属ライブラリーとするという目標については、重いスピン2粒子が生成される物理に関して、パートンシャワーとの接続を含めた解析を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい物理のシミュレーションコードを作製する目標については、スピン3/2(グラビティーノ)粒子とスピン2(グラビトンとそのカルツァクライン励起)粒子とその標準模型粒子との相互作用を一般的に記述する模型のLHCシミュレーションを可能とし、多くの論文を発表した。高速化についてはGPUを用いた高速化の目処が立ったところで、全ての標準模型過程、新しい物理過程のシミュレーションが既に可能だが、一般の研究者に自由に使用していただくための準備が進んでいない。散乱振幅とパートンシャワーとの接続を自動化したシステムの開発については、新しい独自のパートンシャワーの開発研究を進めている段階だ。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画で達成された、標準模型と新しい物理模型の高速シミュレーション機構は、散乱振幅計算に関しては既にテスト段階を終了し、一般の研究者が利用する大規模な計算センターの実証段階に達している。大規模とは言ってもGPUクラスターを基幹とした計算センターは科学研究費の範囲で作ることができ、継続課題としてKEKで実証すれば、多くの研究機関や大学の研究グループが独自のセンターを設置することになり、大規模大学のグループに偏らない解析の多様性が確保される。このためには、数十個の高性能GPUを設置し、システムの管理とそれを用いたLHC物理への新しい解析手法の開発にあたる人材を養成することが必要だ。せっかく日本で開発された基幹技術の成果なので、最初の実証施設をKEKに設置したいと思う。
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Research Products
(6 results)