2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340065
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
中本 建志 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 准教授 (20290851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 明 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 教授 (30113418)
土屋 清澄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 教授 (20044787)
荻津 透 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 教授 (30185524)
佐々木 憲一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 助教 (70322831)
徐 慶金 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 特別助教 (50551818)
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Keywords | 加速器 / 超伝導磁石 / 化合物超伝導 / Nb3Al / 耐放射線 |
Research Abstract |
CERN-LHCアップグレードなどの次世代加速器では、超伝導磁石に要求される高性能化のポイントとして、さらなる高磁場化、耐放射線性能向上、機械的安定性等が挙げられる。A15系超伝導体は従来のNbTiと比較して、より高い臨界温度、臨界電流密度が得られるため、次世代加速器用高磁場超伝導磁石への有力な候補と考えられている。一方で、臨界電流密度が線材の機械歪みに依存して大きく劣化することも知られており、磁石の高磁場化(=電磁力の強大化)にとって技術的な大きな課題と考えられている。我々研究グループは、機械歪みによる影響が非常に小さいNb_3Al超伝導線材に注目し、これを用いた高磁場磁石開発を進めてきた。 平成22年度は、物質材料研究機構と共同で開発している急熱急冷法Nb_3Al超伝導線を元に、米国フェルミ国立加速器研究所の協力のもと、コイル巻き線用の28本撚りラザフォードケーブル(幅14.5mm、厚さ1.8mm)を試作した。なお素線の直径は1mmであり、15TでのNon-copper臨界電流密度が700-800A/mm^2を示す。絶縁材としては、800℃での最終熱処理に耐えられる様に新たに開発したアルミナ繊維テープを用いた。 また、昨年試作したテストコイル2機を用いて、汎用のエポキシ樹脂と新規に開発した耐放射線シアネート樹脂それぞれについてコイルの真空含浸を行った。特にシアネート樹脂については、超伝導コイルに悪影響を与えないよう、硬化温度を最高でも150℃に抑えることを目標として開発してきた。一方、急な加温は化学反応による熱暴走を容易に誘発するため、暴走防止のための加温サイクルやヒーター温調の設計を入念に行った。これらの結果、シアネート樹脂による実際のコイルの真空含浸に成功し、充分実用できることを実証した。 以上の要素開発の集大成として、Nb_3Alサブスケールコイルの巻き線を行った。しかし、巻き線中にケーブルから素線が単独で飛び出る、いわゆるポップアップが発生したため、作業が大幅に遅れてしまい、年度内の磁石完成には至らなかった。このため、平成23年度も引き続き研究開発を進め、磁石の完成と性能評価試験を実施する予定である。
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