2009 Fiscal Year Annual Research Report
核スピンの精密制御を用いた原子の電気双極子モーメント探索
Project/Area Number |
20340067
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉見 彰洋 The Institute of Physical and Chemical Research, 偏極RIビーム生成装置開発チーム, 研究員 (40333314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
旭 耕一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80114354)
内田 誠 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (90397042)
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Keywords | 核スピンメーザー / 電気双極子モーメント / 時間反転対称性の破れ / 超対称性模型 / 核スピン偏極 / 非線形磁気光学効果 / 原子磁力計 / 周波数安定度 |
Research Abstract |
昨年度に引き続きスピン偏極した^<129>Xe原子核の低周波核スピンメーザーを利用した電気双極子モーメント(EDM)探索実験のための装置開発を行った。磁場変動の高感度検出のためのRb磁力計の開発では、昨年度構築した非線形磁気光学効果(NMOE)の測定システムに、内壁をパラフィンでコーティングしたRbセルを導入した。このパラフィンコーティングはRb原子が内壁に衝突する際のデコヒーレンスを抑制することが知られており、狭い幅のNMOE分散スペクトラムの実現が可能になると期待される。コーティング無しのセルでは見られなかった幅3mG程度のNMOEスペクトラムがコーティングセルでは観測された。これは昨年度のコーティング無しのセルで見られた幅に比べて1/400狭いスペクトラムであり、ゼロ磁場近辺の高感度磁場測定を可能にする。まだ個別のセルによってスペクトラム幅にばらつきがあるので、現在コーティングプロセスを調査中である。また磁気シールド内残留磁場がNMOEスペクトルに及ぼす影響もシールド内3軸磁場補正コイルを用いて研究中である。 またスピンメーザーのシステムには大強度ポンピングレーザーとして今まで使用していたアレイレーザーに代わり、ファイバー結合型の半導体レーザーを新たに導入した。これはXeガスを封入したガラスセルへの一様なレーザー照射を可能にし、Rb原子の偏極度分布の一様性を向上する目的である。まだこのシステムでの核スピン緩和時間や周波数安定度の向上は観測されていないが、詳細なデータ解析を行っているところである。その他、長期のメーザー周波数安定度向上に向けた静磁場用定電流源のフィードバック安定化にも着手した。
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