2010 Fiscal Year Annual Research Report
核スピンの精密制御を用いた原子の電気双極子モーメント探索
Project/Area Number |
20340067
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉見 彰洋 独立行政法人理化学研究所, 偏極RIビーム生成装置開発チーム, 研究員 (40333314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
旭 耕一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80114354)
内田 誠 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (90397042)
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Keywords | 核スピンメーザー / 電気双極子モーメント / 時間反転対称性の破れ / 超対称性模型 / 核スピン偏極 / 非線形磁気光学効果 / 原子磁力計 / 周波数安定度 |
Research Abstract |
昨年度まで開発研究を行ってきた^<129>Xe原子核の低周波核スピンメーザーに関して、電気双極子モーメント(EDM)探索実験に向けての改善を行った。一昨年度までに製作した高安定度のソレノイド電流源(変動~10^<-6>)の導入により、短期(<10^4s)のメーザー周波数安定度は向上したが、長期(>10^4 s)の変動(40 ppm)は問題として残っていた。今年度は精密標準抵抗と高精度マルチメーターを通じたフィードバック系を導入して、この長期変動の抑制を行った。これにより1万秒を超えると100nA以上変動していた電流を、数日間に渡って10nA程度まで変動を抑制することができた。マルチメーターの精度を考慮する必要があるが、この改善により長期の変動を消せることができ、数千秒以内の周波数変動と1万秒以上の長期変動を分離した解析・検討をすることができるようになった。 また昨年に引き続き、Rb原子の非線形磁気光学回転(NMOR)を用いた高感度磁力計の開発を行った。本年度はスピンコヒーレンス緩和抑制のためのセル内壁パラフィンコーティング処理の方法やセルサイズ等が異なる複数のRbセルを用いた実験を系統的に行うことによって、磁力計の感度の検討・向上の試みを行った。現在NMORスペクトラム幅は0.5mG程度まで改善でき、スピンコヒーレンス時間は20-30msと見積もられ、既に現在所持している商用フラックスゲート磁力計の性能(12pT/√Hz)を上回っている。目標感度0,3fT/√Hzに到達するためのスペクトル幅1μGには到達していないが、磁気遮蔽系を最適化することで磁気ノイズおよび横方向残留磁場に関する問題点を克服できることが分かった。 上記以外に電極付きセルの作製を行い、10kV/cmの電場印加のもとでのリーク電流が2pA程度であることを確認し、EDM感度10^<-27>ecm以下での実験準備が整った。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Search for Electric Dipole Moment in ^<129>Xe Atom Using a Nuclear Spin Oscillator2010
Author(s)
K.Asahi, T.Inoue, T.Nanao, M.Tsuchiya, H.Hayashi, T.Furukawa, A.Yoshimi, M.Uchida, H.Ueno, Y.Matsuo, T.Fukuyama
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Journal Title
Proceedings of Fundamental Physics Using Atoms
Pages: 24-28
Peer Reviewed
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