2011 Fiscal Year Annual Research Report
原子配列を精密に整えた発光性1nm粒子による100%効率の達成
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20340071
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
粕谷 厚生 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教育研究支援者 (10005986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 彰三 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40171277)
前川 英己 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60238847)
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Keywords | 半導体微粒子 / ナノ粒子 / II-VI族化合物 / 篭状粒子 / マイクロクラスター / CdSe / 量子ドット / 量子箱 |
Research Abstract |
本研究では原子数まで正確に揃えた欠陥の全くない直径1nm台の半導体粒子を合成し、100%の効率で発光する超微細電子素子の創製を目指す。1nm台の粒子は構成原子数nが100を割り、1個の増減で安定性が著しく変化するようになる。この性質を利用すれば、特定のnを持つ安定な粒子だけを選択的に成長させることが出来る。原子数が決まれば原子配列は一意的に定まり、欠陥の全くない完全に単一な粒子が得られる。これにより、効率低下の主因である構造欠陥を取り除いて損失の全くない1nm発光体を作製することが可能になる。 これを追求するために光学材料として優れたII-VI族半導体の一つであるCdSeについて、粒径が1nm台で完全に単一な(CdSe)13、(CdSe)19、(CdSe)33、(CdSe)34、等を溶液中で選択的に生成した後、引き続き僅かに成長或は表面修飾を施して発光効率の変化を調べた。この試料につき、終端原子を含めた1nm粒子の構造と発光効率との関係を微視的に解析することによって励起された電子が精密な原子配列の中で単一な緩和過程を経て最大高率で電子的機能を果たす条件を以下の実験を通して考察した。 1)核磁気共鳴による原子配列および結合状態の同定。(担当:前川、粕谷、協力者) 2)X線回折による構造決定。(担当:粕谷、協力者) 3)光吸収および発光スペクトルの測定と考察。(担当:粕谷、須藤) 4)第一原理計算の結果との比較。(担当:前川、粕谷、協力者) 5)光吸収、発光、ラマン散乱による、電子状態、結合状態、の解析。(担当:粕谷、須藤、協力者) 今年度は特にNMR測定を詳細に行い、表面原子の結合様式を求め、発光効率との関係を解析することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料であるCdSe)_n粒子については3つの新しいタイプの作成が出来、それぞれ発光効率を測定するとともに表面修飾により、10%を越える試料も得られた。またNMR測定により、効率と構造との関係も明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は発光効率と粒子の原子配列との関係を更なる精密X線回折、NMR測定により詳細に解析する。X線回折では底角側に現れるCdSe)_n粒子間の配列に基づくピークの解析を通して、より詳しい原子配列を調べる。またNMR測定ではピークの形状解析および各種相関解析により、発光効率を左右する表面原子の結合様式を分析する。
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Research Products
(3 results)