2008 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブにおける超高速コヒーレント非線形光学応答の研究
Project/Area Number |
20340072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 博 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (40201991)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 非線形光学応答 / レーザー分光 / 光スイッチ / 励起子 |
Research Abstract |
半導体カーポンナノチューブのコヒーレント非線形光学応答の励起光子エネルギー依存性を精密に測定するために、パルス幅130フェムト秒のポンププローブ分光装置を整備した。具体的には、半導体カーボンナノチューブの最低励起子遷移に対し、励起条伜を共鳴励起から、近共鳴励起、非共鳴励起まで連続的に変え、かつ、高感度の吸収変化の測定が可能となるように工夫した。本装置の性能を確認するため、ルブレンなどの有機分子性物質において、過渡吸収スペクトルの測定を行った。その結果、励起光子エネルギーを変化させながら、近赤外領域において高感度の吸収変化スペクトルの測定が可能であることを確認することができた。カーポンナノチューブの試料としては、チューブを孤立化させた試料を用意した。基礎吸収スペクトル等を測定することにより、孤立化の度合いを評価・確認した。良質なカーボンナノチューブ試料を選択し、上記フェムト秒ポンププローブ分光装置を用いて過渡吸収スペクトルの測定を開始した。半導体であるカーボンナノチュ一ブの吸収が非常に弱い条件においても、励起エネルギーによっては、実励起が生じていることによると思われる比較的大きな吸収変化が観測されることがわかった。これは、その励起エネルギー位置に励起子吸収を持つ少量の半導体チューブによる吸収、もしくは、金属チューブによる吸収の影響ではないかと考えられる。次年度以降に、これらの吸収が生じない励起光子エネルギーを選択することによってポンププローブ分光を進め、半導体カーボンナノチューブのコヒーレント非線形光学応答の解明を行う予定である。
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