2008 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンカーバイド上の酸窒化シリコン膜とその上に形成する薄膜の構造解析
Project/Area Number |
20340077
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水野 清義 Kyushu University, 大学院・総合理工学研究院, 准教授 (60229705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 悟 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80281640)
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Keywords | 固体表面 / 構造解析 / シリコンカーバイド / 酸窒化シリコン膜 / 薄膜 / 低速電子回折 / グラフェン |
Research Abstract |
微傾斜シリコンカーバイド試料を1300℃以上の高温炉中で常圧の水素ガスを流してエッチングを行うと、規則正しいナノステップ構造が形成する。また、水素ガスエッチング後に同じ温度に保ったまま窒素ガスを流すと、大気中でも安定な酸窒化シリコン膜を形成させることができる。基板に微傾斜6H-SiC(0001)表面を用いた場合、ABCA*C*B*の6つの面が最上層に来る可能性がある。このうち、AとA*、BとC*、CとB*面はそれぞれ、積層欠陥からの距離が同じなので、お互いに等価であるが方位が180度回転している。A,B,C間にはわずかながら表面エネルギーの差が生じる。高温炉中での水素エッチング時に注意深く温度を制御することにより、特定の面のみが周期的に現れるナノステップ構造を形成させることができる。本研究では、実験的にA,B,Cのどの面が現れているのかを低速電子回折(LEED)と走査トンネル顕微鏡を用いて調べた。その結果、A面の上に酸窒化シリコン膜が形成することが明らかになった。 また、この試料を真空中で1400℃に加熱すると3層のグラフェン膜を優先的に成長させることができた。このグラフェン膜は3回回転対称のLEEDパターンを示し、微傾斜していない基板の真空加熱と比較して容易に質の高いグラフェン膜を生じさせることができた。また、この表面にカリウム原子を低温(80K)で蒸着すると(2×2)のLEEDパターンが観察された。この表面を100℃以上に加熱するとカリウムは脱離してしまうことがオージェ電子分光の測定で明らかになった。さらに、低温で観察された(2×2)構造の定量LEED法で解析したところ、カリウム原子が最上層のグラフェン膜の上に吸着し、吸着サイトはhollow siteであることを決定できた。得られた構造パラメータからカリウムの原子半径を求めたところ、おおよそ金属結合半径に一致し、カリウムはグラフェンと強い相互作用はせずに吸着していることがわかった。
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Research Products
(18 results)