2009 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンカーバイド上の酸窒化シリコン膜とその上に形成する薄膜の構造解析
Project/Area Number |
20340077
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水野 清義 Kyushu University, 大学院・総合理工学研究院, 准教授 (60229705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 悟 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80281640)
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Keywords | 固体表面 / 構造解析 / シリコンカーバイド / 酸窒化シリコン膜 / 薄膜 / 低速電子回折 / グラフェン |
Research Abstract |
6H-SiC(0001)表面を真空中で1400℃に加熱すると数層のグラフェン膜を成長させることができる。この表面にアルカリ金属原子を吸着させてその構造を低速電子回折により調べた。室温ではリチウム・ナトリウム・カリウム・セシウムともに明瞭な回折スポットを生じなかった。低温(80K)でカリウムとセシウムを蒸着すると(2x2)のLEEDパターンが観察された。これらの表面の構造解析を行ったところ、カリウム・セシウム原子共に最上層のグラフェン膜の上に吸着し、吸着サイトはhollow siteであることを決定できた。得られた構造パラメータからカリウムおよびセシウムの原子半径を求めたところ、どちらもおおよそ金属結合半径に一致し、カリウムとセシウムはグラフェン層と強い相互作用はせずに吸着していることがわかった。一方、リチウムとナトリウムは低温においても明瞭な回折スポットを生じず、表面を動き回ることが可能と考えられる。 表面微小領域からの回折パターンを観察するための装置開発を進めた。単結晶W<111>配向ワイヤを電解研磨により切断した針を、真空中で電界誘起酸素エッチングおよび電界誘起窒素エッチングすることにより、1点から電界放出が起こり、開き角が5度以下で安定な電子源を得ることができるようになった。この針を用いて、SiC上の数層グラフェン膜からの回折パターンを得ることに成功した。また、針先端から試料表面までの距離を測定し、おおよその電子線照射領域が100nm程度であることを確認した。さらに、針と試料に印加する電圧を変化させて回折パターンの強度を測定し、構造解析に必要なI-V曲線の測定も試みた。まだ測定範囲が狭いが、計算によるI-V曲線とよい一致をみることができた。一方、電界誘起酸素エッチングによる針先端の尖鋭化を調べるために、エッチング前後の針先端の形状を走査型透過電子顕微鏡で観察した。その結果、エッチングによって針先端が円錐形に尖鋭化していることを確認した。針先端の曲率半径は電界イオン顕微鏡像から推定したものと一致した。
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Research Products
(21 results)