2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340080
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
迫田 和彰 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ドットセンター, センター長 (90250513)
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Keywords | GaAs / 量子リング / 量子ドット / フォトニック結晶 / QED |
Research Abstract |
GaAsナノ粒子の創製に関して大きな進展があった。第1に,高温アニールにより格子欠陥の大幅な低減を達成し,励起子発光の均一幅を従来の4分の1にまで低減できた。第2に,(100)基板面に代えて(111)基板面を利用することで量子ドット形状の対称性を高め,微細構造分裂がすべてのドットサイズで30μeV以下と世界最高レベルの値を達成した。第3に,励起子分子と正負のトリオンの結合エネルギーのドットサイズ依存性を明瞭に観測できた。このことから,無歪み系量子ドットが少数キャリアの電子相関の研究に格好の素材であることが分かり,今後この分野の研究の大きな進展が期待される。電子状態の理論計算については昨年度の手法をCdTe量子テトラポッドに応用し,最低励起子準位がA_1対称で基底状態への光学遷移は双極子許容であることが分かった。励起子発光波長の計算結果は測定値と誤差3%で一致した。さらに,CdTe/CdSeコア・シェル型量子テトラポッドの解析を進め,CdTe単体には見られなかった新たな特徴として,張り出した4本のアームの軸の周りを回転運動する電子状態が比較的低いエネルギーをもつことが分かった。本研究の1つの応用として電流注入型GaAs量子ドットレーザーを試作した。効率的なレーザー発振を実現するために,低砒素圧での結晶成長や高温熱処理による高さの均一化等,ドットのサイズ揺らぎを低減する工夫を行ったところ,不均一幅を14meVまで低減できた。77Kにおいてパルス電流注入でレーザー発振が確認でき,その際の発振閾値電流は8.4kA/cm^<-2>であった。無歪み系量子ドットの電流注入レーザー発振は世界初である。
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Research Products
(42 results)