2009 Fiscal Year Annual Research Report
パラメトリックなX線非線形過程の理論的・実験的解明と物質科学への応用研究
Project/Area Number |
20340081
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
玉作 賢治 The Institute of Physical and Chemical Research, 石川X線干渉光学研究室, 専任研究員 (30300883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 桂 独立行政法人理化学研究所, 石川X線干渉光学研究室, 基礎科学特別研究員 (40462692)
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Keywords | 非線形光学 / X線 / パラメトリック変換 / 共鳴 / ファノ効果 / 非線形感受率 / AB効果 |
Research Abstract |
本研究は、今後X線領域での非線形光学を広く展開していくための基盤的な研究を理論・実験両面から行うことを目的としている。平成21年度は、前年度の結果を踏まえて以下の成果が得られた。 1.X線パラメトリック変換の定量的解析と偏光依存性の解明 昨年度の研究で明らかになった内殻励起におけるパラメトリック下方変換の共鳴的増大を利用して、この変換がファノ効果として観測されることを理論的に示した。また、測定データを定量的に解析する理論式を導出した。この理論式は、ファノ効果だけでなく、試料の厚みや非線形回折の境界条件といった幾何学的な要素も正しく取り扱える。これを用いて昨年度測定したダイヤモンドのデータを解析し、初めてX線領域での2次の非線形感受率を見積ることに成功した。さらに、当初計画の偏光依存性に関するデータを取得し、測定誤差の範囲内で予想通りの結果を得た。この実験結果をもとに昨年度開発した大型4軸回折計を改良して測定精度を向上させ、初期の目標性能を達成した。 (研究分担者:玉作賢治) 2.X線非線形応答の理論の構築 昨年度の研究で、非線形光学効果の理論研究を幾何光学の範囲で行い、制御光の位相によるX線ビームのシフトを導出した。本年度は波動光学へと拡張し、位相整合条件をはさむ2つのビームを干渉させると、それらのビームは位相空間で定義された実効的な磁束を囲むことを示した。その結果、位相整合から大きく外れたビーム同士でも制御光による位相差を生じ、位相空間におけるX線のAB効果を実現できることがわかった。 (研究分担者:澤田桂)
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Research Products
(7 results)