2011 Fiscal Year Annual Research Report
希土類化合物における量子スピン系の基底状態と相転移の研究
Project/Area Number |
20340083
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
落合 明 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90183772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 晴善 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60302246)
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Keywords | 量子スピン系 / 希土類化合物 / フラストレーション / 交差相関 |
Research Abstract |
本年度の研究としては、磁場と強弾性の新奇交差相関の研究及び新規4f電子量子スピン系物質の研究に進展があった。 新奇交差相関の研究に関しては、種々のRAl_3C_3(R=希土類)で、且つ、種々の磁気的状態でこの交差相関が存在することを見出した。特に、結晶場基底状態が一重項の物質でも、強弾性が磁場に応答するのは不思議である。 一方、新規4f電子量子スピン系物質として、YbイオンがShastry-Sutherland格子を形成するYb_2Pt_2Pbを取り上げて研究を進めた。この物質で、磁場印加方向によって秩序状態が変化する磁場-温度相図を作成し、そこに磁場誘起による部分無秩序相を見出した。さらにその部分無秩序の出現機構を明らかにした。このような部分無秩序相が磁場中で出現するのは、磁気的基底状態のKramers2重項の波動関数が異方的であり、かつこの物質の構造上の特徴からその軸方向が2種類あることに大きく関係している。Yb_2Pt_2Pbの磁気的基底状態は、たとえ相互作用が等方的であっても、磁気モーメントに軌道成分を含むため、磁場を印加することでその対称性が破れてしまう。つまり磁場がなければ等価なYbイオンのサイトが、磁場印加により二つの副格子に分かれてしまう。もし、二つの副格子間の相関が小さければ、一方の副格子の長距離秩序が磁場により崩れても、他方の副格子は秩序を維持することが可能であり、これは、まさにシャストリー・サザーランド格子の特徴が現れたからだと考えられる。
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