2008 Fiscal Year Annual Research Report
擬2次元遷移金属酸化物における異方的電荷・軌道物性の制御
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20340086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
十倉 好紀 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (30143382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野瀬 佳文 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (80436526)
井口 敏 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (50431789)
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Keywords | 軌道秩序趣 / 電荷秩序 / 異方性 / 擬二次元系 / 光学応答 |
Research Abstract |
本年度で得られた主な結果を以下に挙げる。 1.EuO.5Ca1.5MnO4,Pr(Ca,Sf)2Mn207は室温で電荷・軌道ストライプ秩序をもつ層状マンガン酸化物であり、電荷・軌道秩序の理解と制御を行う系としては非常に理想的である。結晶作製技術の向上により単一ドメインでのこれらの良質単結晶を得ることが出来たので、電荷・軌道ストライプ秩序におはる電荷・軌道の結合を明らかにし、それらの一軸圧による制御を試みた。圧力下での放射光を用いた構造解析によって、Eu0.5Ca1.5MnO4では軌道ストライプ方向への8.5MPa以下の弱い一軸圧により、ストブイフの可能なことが分かり、Pr(Ca,Sr)2Mn207においては圧力によってストライプの向きが変化した後、さらに斜方晶歪みの回転が起こることなどが分かった。また同様に光学伝導度も大きな異方性を示しており、光学異方性を劇的に変化可能な光学素子など応用的観点からも重要であると考えられる。 2.ペロブスカイト型バナジウム酸化物Y1-xCaxVO3,La1-xSrxVO3は異方的な軌道・スピン秩序を持つモット絶縁体系として知られており、それらの軌道・スピン秩序の中に導入されたキャリアの異方的ダイナミクスに関する知見を得ることが出来る系として重要である。 この系における光学伝導度、ラマン散乱スペクトルの異方性を測定した結果、斜方晶歪みが大きいY1-xCaxVO3ではドーピングされたホールのダイナミクスは等方的であり、歪みが小さなLa1-xSrxVO3では一次元的な軌道交換相互作用によって異方的なダイナミクスを示すことなど、斜方晶歪みの大きさの違いによるキャリアのダイナミクスの違いとともに軌道・スピン秩序の安定性に関する知見を得ることが出来た。 これらは異方的光学応答の制御方法における一つの重要な結果である。
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Research Products
(16 results)