2008 Fiscal Year Annual Research Report
有機導体β型DMeET塩における非線形伝導と隠れた準安定状態の機構解明
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20340087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 初果 The University of Tokyo, 物性研究所, 准教授 (00334342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 一志 東京大学, 物性研究所, 助教 (60342953)
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Keywords | 分子性物質 / 強相関電子系 / チェッカーボード型電荷秩序 / 電場応答 / 巨大非線形伝導 / 電場誘起準安定状態 / ラマン分光 / 電荷秩序揺らぎ |
Research Abstract |
表題の有機導体β型DMeET塩は、1/4充填バンド構造をもつ強相関物質で、90Kで金属一絶縁体転移を起こし、絶縁相はチェッカーボード型電荷秩序相であることが、これまでの研究で明らかとなっている。さらに、0.6kbarの低圧力からπ=4Kの超伝導転移を起こす。このように特異な電荷秩序パターンをもち、さらにストライプ型と異なるパターンとも競合するため絶縁相が柔らかく、電場下でも巨大非線形伝導ばかりでなく、電場誘起準安定状態が観測された。このように、ジュール熱では説明できない準安定状態の電子状態を明らかにすることにより、分子性物質ならでは特異な電場応答、つまり電荷秩序融解過程を解明することを目指した。 その結果、電場印加による2段階の抵抗減少が、オッシロスコープでもはっきりと捕らえられ、印加した電圧がすべてジュール熱になると仮定した計算からは、この準安定状態は見出されないので、電場誘起の特異な現象であることを明らかにした。さらに、チョッパーで準安定状態を切り出した電場下のラマン分光をおこなったところ、電極間の90ミクロン直径にわたる範囲で、チェッカーボード型長距離電荷秩序ラマンスペクトル(分子の電荷:+0.25価と+0.75価)が消え、電荷秩序が融解し、金属あるいは短距離電解秩序を示すスペクトル(+0.5価)が観測された。電場誘起準安定状態では、いまだ1000オーム近くの中程度の抵抗が保たれていることを考慮すると、この準安定状態がフィラメント状伝導パスでできているのでなく、均一な電場誘起ならではの電子状態であると考えられる。そこでは、電子系のチェッカーボード型長距離電荷秩序は融解して、電荷秩序揺らぎ状態になっている一方、格子系の融解は遅れた状態であることを示唆した。
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Research Products
(35 results)