Research Abstract |
概要:昨年度と同様に,ブリルアンゾーン境界X点のフォノンクエンチによりプロトタイプ構造相I4/mmmから,応力場によって空間群のAbmaとBmabのスイッチが可能な強弾性相への構造相転移を起こすアルキルアミン遷移金属ハロゲン化物の単結晶育成を行い,メチルアミンおよびエチルアミンの塩化物についてFe, Ma, Co, Cu, Znの10種類の単結晶育成条件を決定し,得られた単結晶に対し,多重極限下(低温,強地場,高圧)で勢力学量,輸送特性を測定した。本年度は,良質の大型単結晶育成技術を確立したので,この試料を用いて弾性率および熱膨張の測定も行った。 1. 昨年度発見したEACuCの二つの誘電異常温度(26Kおよび37K)において弾性率C_<55>およびc事項方向熱膨張を測定した結果,37Kにおいて明確な異常を示した。誘電秩序に伴う構造変化が明確になった。相転移に伴う歪みはe_<zx>の可能性が高い。弾性率は,ステップ型のソフト化を示していることから相転移に関わるランダウ型自由エネルギーにおける秩序変数・歪み結合項は歪み1次・秩序変数2次型となるものと推測される。さらに,EACuCの磁気秩序温度において顕著なc軸方向熱膨張の増大を観測した。EAFeCと同様の磁気秩序に伴う構造相転移の可能性を見出した。これらの結果は,EACuCにおける3者相関を期待させる。 2. 本年度は,EAMnCについて行った誘電率測定および熱膨張測定の結果,225KにおけるAbma-Pbca相転移点において,誘電率の急激な減少と熱膨張率の巨大異常を観測した。この結果は,EAMnCにおいても歪みと誘電率における相関が存在することを示唆する初めての報告である。 3. EAMnCについては,磁場中における誘電率の測定から,磁化曲線の傾きが変化する磁場において誘電率の著しい変化を初めて観測した。来年度は,交差相関についてさらに詳細な検討を行う。
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