2010 Fiscal Year Annual Research Report
充填スクッテルダイト化合物単結晶の充填率制御による新奇特性の探索と評価
Project/Area Number |
20340094
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐藤 英行 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (80106608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 勇二 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (20231772)
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Keywords | 充填スクッテルダイト / 強相関電子系 / 高圧合成 / ラトリング / 重い電子 / 結晶場 / 希土類化合物 |
Research Abstract |
以下の3つの計画が並列して進められた。 (1)希土類の充填率が不完全で、疑問が残されている典型物質(CeOs_4Sb_<12>、SmOs_4Sb_<12>、など)。 CeOs_4Sb_<12>の異常な低温秩序相の機構の解明を目指し、高圧下での単結晶育成を行ったところ、格子定数は3×10^<-4>nm増大し、それに伴い低温領域で帯磁率、比熱、電気抵抗にも顕著な量子臨界点への接近を示唆する変化が見いだされた。一方、SmOs_4Sb_<12>の磁場に鈍感な重い電子状態の起源を探るため、SmをLaで置換して、重い電子状態の変化を評価したところ、約50%置換までは局所効果を示唆する線形減少を示し、その後急激に低下した。その変化はSmの籠内振動の特性温度と良く相関するという、籠内振動と質量増強の関連を示唆する結果を得た。 (2)As、または重希土類を含む充填スクッテルダイト単結晶(CeFe_4As_<12>、YbFe_4P_<12>、YbOs_4Sb_<12>など)の育成と物性評価。 SmT_4As_<12>(T:Fe,Ru,Os)の全ての単結晶育成に成功し、系統的な物性評価を行った。T-Fe、Ru、Osは各々強磁性、非磁性、フェリ磁性転移を示し、いずれの電気抵抗も転移温度以上に近藤効果を示唆する-log(T)の依存を示す。SmRu_4As_<12>はSm系としては大きな電子比熱係数を示し、磁場に鈍感であり、多極子自由度の関わりを示唆している。重希土類系としては、GdFe_4As_<12>、YbOs_4Sb_<12>の単結晶育成に成功し、前者については顕著な磁気異方性を見出し、後者については格子定数以外の物性測定に初めて成功した。 (3)Fe-d電子と4f電子の共存・競合による新奇特性の探索と理解 RFe_4As_<12>では、R=Ceを除くGd系までの全ての系で、3d電子に由来する遍歴電子強磁性と希土類の4f電子自由度のかかわる、興味深い振舞が見いだされた。
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Research Products
(9 results)