2008 Fiscal Year Annual Research Report
低次元系の特異な電子相を利用したデバイス創製ならびにスピンダイナミックス研究
Project/Area Number |
20340095
|
Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
中村 敏和 Institute for Molecular Science, 物質分子科学研究領域, 准教授 (50245370)
|
Keywords | 有機導体 / 電荷秩序 / 反強磁性 / スピンギャップ / 高圧力実験 / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
一次元スピンパイエルス-反強磁性量子臨界近傍相,質量ゼロのディラック粒子系,導電性ヘリカルナノチューブなど特異な電子構造を持つ分子性固体に着目し,熱平衡条件下ならびに電場および磁場印加・光応答条件下におけるスピンダイナミックス研究を行っている.軽元素で構成される分子性物質はスピン軌道相互作用が小さく,加えて一次元電子系やディラックコーン型エネルギー分散を持つ系では,スピン緩和が著しく抑制されるものと期待できる.スピン輸送・高移動度・太陽電池・量子コンピューティングデバイス材料への適用を念頭に置きながら,非接触でかつ微視的な分光法である磁気共鳴法(電子スピン共鳴(ESR)・核磁気共鳴(NMR))により,それらの物質群の電子状態を理解すると共に,その特異性を生かした分子性デバイスを開拓することを最終目標としている. 平成20年度は,NMR測定のためのプローブ制作を行い,(TMTTF)_2X塩の混晶系の磁気共鳴測定並びに圧力下NMR測定を行い一次元電子系の電子物性理解を進めた.加えて,(TMTTF)_2X塩系の新規な塩も作成に成功し,来年度以降の系統的な研究転回が可能となった,また,α-(BEDT-TTF)_2I_3の試料作成も行い,質量ゼロのディラック粒子系の電子状態研究の準備も整った,その他,一次元自己集積型Cu錯体の磁性と電子状態の多核NMRも行い,分子内の磁気的相互作用の他,鎖間にも大きな相互作用があることを見いだした.磁性体に関しても,自己集積化法が分子集合体のデザインに有効であることが分かった.
|
Research Products
(43 results)