2009 Fiscal Year Annual Research Report
低次元系の特異な電子相を利用したデバイス創製ならびにスピンダイナミックス研究
Project/Area Number |
20340095
|
Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
中村 敏和 Institute for Molecular Science, 物質分子科学研究領域, 准教授 (50245370)
|
Keywords | 有機導体 / 電荷秩序 / 反強磁性 / スピンキャップ / 高圧実験 / 磁気共鳴 |
Research Abstract |
一次元スピンパイエルスー反強磁性量子臨界近傍相,質量ゼロのディラック粒子系,導電性ヘリカルナノチューブなど特異な電子構造を持つ分子性固体に着目し,熱平衡条件下ならびに電場および磁場印加・光応答条件下におけるスピンダイナミックス研究を行っている.軽元素で構成される分子性物質はスピン軌道相互作用が小さく,加えて一次元電子系やディラックコーン型エネルギー分散を持つ系では,スピン緩和が著しく抑制されるものと期待できる.スピン輸送・高移動度・太陽電池・量子コンピューティングデバイス材料への適用を念頭に置きながら,非接触でかつ微視的な分光法である磁気共鳴法(電子スピン共鳴(ESR)・核磁気共鳴(NMR))により,それらの物質群の電子状態を理解すると共に,その特異性を生かした分子性デバイスを開拓することを最終目標としている. 平成21年度は,これまでに整備した圧力下NMRシステムにより一次元電子系(TMTTF)_2Xの電子相図に関する統一像を明らかにすることがほぼ出来た。また,量子臨界相で異常なスピンギャップ相を発見しており,^<13>C-NMRなどによりその電子状態やスピンダイナミックスについても研究を進めている。22年度はこれらの種々の電子相の起源解明のため,さらに物質群開拓の観点からも研究を行う。最終的な理解のためには構造的研究が必要であり,研究を推し進める。
|
Research Products
(47 results)