2010 Fiscal Year Annual Research Report
スピンナノチューブの異常量子現象の理論的・計算科学的研究
Project/Area Number |
20340096
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
坂井 徹 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授 (60235116)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 博生 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助教 (00343418)
岡本 清美 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (10114860)
奥西 巧一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (30332646)
利根川 孝 神戸大学, 理学研究科, 名誉教授 (80028167)
|
Keywords | 量子スピン系 / ナノチューブ / スピンギャップ / カイラリティ / スピン液体 |
Research Abstract |
今年度は主にスピンナノチューブの磁場中における物性について、密度行列繰り込み群・場の理論・摂動論を適用して理論的に研究した。とくに飽和磁化の3分の1の磁化における性質を中心に調べた。 3本鎖スピンチューブに、ユニットの正三角形を二等辺三角形にする格子ひずみを導入して一般化したモデルでは、三角形部分の交換相互作用が十分強い場合には、3分の1磁化プラトーが現れるが、本研究ではこのプラトーが現れるパラメータ領域で以下のような新しい性質が判明した。 (1)二等辺三角形へのひずみの大きさを変化させるとき、正三角形の周辺では、他のパラメータに比べてプラトー幅が増える領域がある。 (2)このプラトー幅が増える領域では、鎖方向の並進対称性が自発的に破れ、カイラル秩序相が実現している。 (3)この領域の相境界は二次元イジングモデルと等価なユニバーサリティクラスに属する。 さらにこのカイラル秩序相は、3分の1以外の磁化領域のスピン液体相にも広がっていることも判り、このカイラル秩序相の他の磁化における相図の完成を目指している。
|