2009 Fiscal Year Annual Research Report
電荷分布不均一性を持つ層状ペロブスカイト遷移金属酸化物の異常励起
Project/Area Number |
20340097
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
中島 健次 Japan Atomic Energy Agency, J-PARCセンター, 研究主幹 (10272535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶本 亮一 (独)日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究副主幹 (30391254)
社本 真一 (独)日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主席 (90235698)
樹神 克明 (独)日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10313115)
長壁 豊隆 (独)日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (80354900)
脇本 秀一 (独)日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (40399415)
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Keywords | 強相関係 / 磁性 / 層状ペロプスカイト / 遷移金属酸化物 / 中性子散乱 |
Research Abstract |
本研究の計画の柱は、1つには広い種類の3d金属の広い範囲のホール濃度を持つ多数の試料の育成、1つにJ-PARCの強力な線源を利用する最新の中性子実験装置への本研究に合わせた測定試料環境を整備・搭載とそれによる集中的な中性子散乱実験の実施である。多数の試料を系統的・集中的に大強度の中性子散乱実験装置で調べることで、3d金属酸化物の集団励起に及ぼすホールドープの効果を明らかにするのが本研究目的である。21年度は、試料育成については、過剰酸素導入を定量的に実施するための心臓部であるマスフローメーターを改良し、任意のアニール炉にも着脱が容易な自動制御ボックスを整備し、試料育成、試料調整の環境をさらに高効率に整えた。中性子実験装置については、単結晶試料測定に必要なマイクロゴニオメーターの高度化、室温以上の温度領域の測定を行うクライオファーネス用高温スティックを整えた。一方で、本研究の中核となるJ-PARCでの中性子散乱実験については、J-PARC自身の不調や実験装置の整備の遅れなどもあり、また、代替として検討していた日本原子力研究開発機構の3号炉でも予定外のシャットダウンに見舞われるなどして、残念ながら十分に進んでいるとは言いがたい。それでも、Ni酸化物を中心にx線散乱等を使った研究の他、予備的な測定ではあるがJ-PARCの装置での測定も開始できた。J-PARC、四季分光器、アマテラスを用いたLa_<1.5>Sr_<0.5>NiO_4の予備測定ではこれまで報告されていた磁気励起の低エネルギー側の分散が短い測定で綺麗に把握できたほか、これまで知られていない新たな分散の痕跡が捉えられホールのストライプ構造でスピン間相互作用の様相が変化する一端を捉えている可能性がある。本研究では、中性子散乱実験が遅れ気味であるが、既に予備測定で新たな知見が得られる可能性を捉えているので、来年度はこの遅れを取り戻すべく研究を加速させていきたい。
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Research Products
(17 results)