2010 Fiscal Year Annual Research Report
電荷分布不均一性を持つ層状ペロブスカイト遷移金属酸化物の異常励起
Project/Area Number |
20340097
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
中島 健次 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究主幹 (10272535)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶本 亮一 総合科学研究機構, 東海事業センター, 副主任研究員 (30391254)
社本 真一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主席 (90235698)
樹神 克明 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10313115)
長壁 豊隆 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (80354900)
脇本 秀一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (40399415)
|
Keywords | 強相関系 / 磁性 / 層状ペロプスカイト / 遷移金属酸化物 / 中性子散乱 |
Research Abstract |
最終年度の22年度は、試料育成環境については、過剰酸素導入を定量的に実施するための心臓部であるマスフローメーターをもう1系統を増強し、試料調整環境の効率化をはかった。中性子実験装置については、ハードウェアの整備はほぼ完了したので、解析ソフトウェア等データ処理にかかる部分を増強した。本研究の中核となるJ-PARCでの中性子散乱実験については、これまでのNi系2-1-4の測定に加え、酸素ドープを行ったCo系2-1-4化合物の測定も開始できた。結果、従来調べられてきたSrドープ系と同様にエネルギーや運動量遷移について大きく再規格化されたスピン波分散や軌道磁気モーメントと結合しているためと思われる分散などが観測できた他、Srドープ系では見られない分散も観測され、さらには軌道磁気モーメントと結合していると思われる分散の振る舞いも変化が小さいなど多々異なる極めて興味深い点が見つかり、ホールドープのメカニズムの違いによるこれら変化からホールドープのスピンダイナミクスへの寄与の微視的機構に迫れると期待している。この他、Ni2-1-4系についてもデータを蓄積し、欧州のグループが報告している高濃度側の磁気励起の異常についても同様の結果を確認した。さらに、まだ研究の行われていないホール濃度0.5/Niを超える領域の測定を進めてこの系のホールドープのスピンダイナミクスへの効果を明らかにしたいと考えている。その他、関連する遷移金属酸化物磁性体のスピンダイナミクスの測定も実施した。本年度は最終年度であったが、残念ながら、J-PARC自身、年度前半の不調やマシンタイムをアサインした3月における震災とその後の長期シャットダウンなどもあり、当初予定の実験すべてをこなすことは出来なかったが、これまで整備した資産を継続して使用し、今後も研究を続けることで当初の目的を達成していきたいと考えている。
|