2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340100
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
池田 研介 Ritsumeikan University, 理工学部, 教授 (40151287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 公也 九州工業大学, 情報工学部, 准教授 (70188001)
首藤 啓 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (60206258)
石井 豊 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (20304727)
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Keywords | 非平衡・非線形物理学 / カオス / トンネル効果 / 半古典理論 / 複素力学系理論 |
Research Abstract |
多次元トンネル効果では、可積分系極限においてトンネル機構を記述するインスタントン機構とは全く異なる、真性多次元性に由来する新しい機構である複素安定不安定多様体機構がトンネル効果を嚮導する。これが我々の極めて一般的な主張であるが、障壁トンネル効果の場合と動的トンネル効果の場合についてこの基本的主張がどのように現れるのかを解明した。障壁トンネル効果ではこの新機構がトンネル効果のスペクトル的特徴に明確に現れる事を示す事に成功し、成果が出版された。動的トンネル効果の場合、多次元性は必然的に<カオス>を帰結する。この場合にも、上記複素安定不安定多様体機構が本質的役割りをする。カオス的トンネル効果を支配するトンネル軌道集合の特性が数値的アプローチと数学的アプローチを総合した方法によって解明された。動的トンネルを支配する事が1996年我々によって明らかにされた、いわゆるLaputa集合の漸近的性質が解明され、その数学的定義が与えられると同時にジュリア集合との関係があきらかにされた。すなわち、ジュリア集合にはlaputa集合が稠密に存在する。一方、ジュリア集合にはカオス集合の複素安定多様体が稠密に存在する。トンネル軌道は複素安定多様体にそって吸引されカオス集合の近傍を通過し不安定多様体に沿って目的地に到達する。これが上記複素安定多様体がトンネル効果を支配するという主張のカオス的状況での現れである。この主張は従来の伝統的なトンネル描像で、可積分極限でなりたつインスタントン描像と対極にある非可積分極限での全く新しいトンネル描像(カオス的トンネル効果)を与えたと考える。成果は論文Julia set and chaotic tunnelling I, IIとして投稿中である。なお、RGの俵口忠功は本プロジェクトが基礎をおく半古典理論の基礎的研究に於いて貢献した。
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Research Products
(2 results)