2012 Fiscal Year Annual Research Report
スピン偏極励起原子ビームを用いた分子内局所磁性による立体ダイナミクスの研究
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20340102
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岸本 直樹 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60302080)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | 電子スピン / 励起原子 / 電子構造 / 開殻 / 衝突反応 / 電子分光 |
Research Abstract |
電子スピンの効果が大きな(スピン多重度の高い)開殻系の試料分子と開殻系であるスピン3重項励起ヘリウム原子ビームとの衝突に伴うペニングイオン化反応において、反応で放出された電子を検出することで、複雑な開殻系遷移金属錯体の電子構造を明らかにすることが出来た。また、開殻系遷移金属錯体の量子化学計算で、グリーン関数法を用いたP3法によって、スペクトルと対応する理論スペクトルを得ることができた。 開殻スピン3重項励起ヘリウム原子ビームを衝突エネルギー分解して試料分子に照射する衝突エネルギー/電子エネルギー分解2次元電子分光法によって開殻系遷移金属とスピン3重項励起ヘリウム原子の間に強い相互作用が生じていることが明らかになった。また、実験結果の解析において、スピン3重項励起ヘリウム原子と開殻系遷移金属錯体の相互作用ポテンシャルをモデル計算によって行ったが、従来から用いてきた基底状態リチウム原子と試料分子との相互作用モデル計算を複数のスピン状態で行ったが、実験で観測されたような強い相互作用を得ることができなかった。そのため、リチウム原子と開殻系遷移金属錯体の相互作用系で構造最適化を行ったところ、遷移金属錯体の構造緩和によって大きな引力的相互作用がはたらいていることが明らかになった。現在のところ、本研究結果はスピン3重項励起ヘリウム原子の衝突反応ダイナミクスにおける試料分子の構造緩和の効果を露わにした数少ない例となっている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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