2008 Fiscal Year Annual Research Report
単一鎖共役系高分子の配座とその光学特性の相関に関する研究
Project/Area Number |
20340109
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
VACHA Martin Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50361746)
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Keywords | 1分子計測 / 共役系高分子 / 高分子の配座 / 光学特性 |
Research Abstract |
本研究では、単一鎖ごとに共役系高分子の構造及びコンフォメーションと光物理的特性との相関を調べることを目的とする。本年度は、使用していた実験装置の品質及び性能の改良を行った。更に、研究目的の具体的な課題として以下の研究を行った。 1. 共役系高分子ポリチオフェンの化学的構造制御と光電子特性 共役系高分子の化学的構造が光電特性に与える影響について検討した。ポリチオフェン(PT)主鎖にバルキーなポリスチレン側鎖が導入された分子を用い、単一分子計測とシミュレーションによる構造の再構築を行った。シミュレーションの結果、側鎖を持たないPTの場合、ほぼ全ての共役セグメント間の距離はフェルスター半径以下となった。一方、バルキーな側鎖を導入したPTでは、主鎖は伸びた構造になり、セグメント間相互作用が著しく減少するという結果が得られた。単一分子計測の結果、分子内励起子の局在化の程度とコンフォメーションに大きな相関があることが明らかになった。さらに、単一分子発光の電場依存性の実験から、励起子分離および電荷移動がPT鎖上及び鎖間両方で生じ、分子のコンフォメーションに依存していることを見出した。 2. 単一共役性高分子内の発光サイトのマッピング 超高分解単一分子イメージング技術を用いて、共役性高分子MEH-PPV単一分子内の発光サイトのマッピングを行った。この技術を用いることで、ナノメーターの精度で分子内発光サイトを特定することができた。結果として、少数の発光サイトへの高効率のエネルギー移動によって、単一分子内で発光サイトの空間的移動が起こることを明確にした。発光サイトの移動距離は数ナノメーターから数十ナノメーターの範囲で分布しており、この結果は、複数のメカニズムで励起エネルギーがトラップサイトに集まることを示唆している。
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