2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340110
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
奥村 剛 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (80271500)
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Keywords | ソフトマター物理 / 濡れ / 破壊 / 粉粒体 / 表面・界面物性 / 複合材料・破壊 |
Research Abstract |
ソフトマターの先駆的研究でノーベル物理学賞を受賞した故de Gennes教授は、枝葉末節に目をつぶる独特の手法により、様々なテーマの研究を行い、シンプルな物理的本質を鮮やかにえぐりだした。そして、この研究手法を絵画における印象派主義にたとえ、物理学における印象派の精神を提唱した。本年度も、この精神に基づき、濡れや破壊等の問題を研究し、以下のようなテーマに関しシンプルで直感的な理解を得た。 (1)擬2次元の滴(しずく)の融合I オリーブオイルに囲まれた水溶性液体の液滴の融合の際に形成される液体薄膜現象が新しいタイプのdewettingであることを実験的に発見し、理論的に説明した。この新現象は対称性の破れに起因し、Phys.Rev.E誌にてRapid Communicationとして発表された。 (2)擬2次元の滴(しずく)の融合II シリコーンオイルに囲まれた水溶性液体の液滴の融合に関し、ひとつの融合イベントにおいてその動力学が3次元から2次元への次元クロスオーバーを起こしていること、実験とオリジナルな理論の明確な一致により示した。さらに、静電気の影響下では、融合が自己相似形を保って進行することも発見した。これらの結果は、Proc.Nat,Acad,Sci.(USA)にて発表された。 (3)擬2次元空間での引きずり抵抗 2次元セルにおいてディスク状の流体液滴が受ける抵抗法則を極めて明確な実験とオリジナルな理論の明確な一致によって示した。これは流体力学の教科書に必ず記述されているストークの抵抗法則をDANチップなどの現代的な文脈で重要な閉じ込められた空間の場合に拡張する重要な結果であり、Soft Matter誌にて発表された。 (4)擬2次元粉粒体媒質での引きずり抵抗 上記(3)の研究の媒質を粉粒体媒質に変えて実験を行い、実験とオリジナルな理論の一致を得た。この結果は、従来の粉粒体抵抗法則に新しいレジームの存在を示すものとして高く評価され、EPL (Europhys. Lett.)にて発表された。
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Research Products
(13 results)