2010 Fiscal Year Annual Research Report
3次元マイクロレオロジーを用いたソフトマターの時空間階層構造の解明
Project/Area Number |
20340113
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 康之 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00225070)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 靖孝 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (50552494)
|
Keywords | ソフトマター / 光ピンセット / 光渦 / リミットサイクル振動 / 流体力学相互作用 / コロイド結晶 / Soret効果 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度までに開発された光ピンセットシステムを用いてソフトマターの作る時空間構造の具体的な対象に対して以下のような研究を行なった。 (1)円軌道を駆動される粒子の時空間ダイナミクス マルチレーザーピンセットシステムで作成した光渦を用いて、円軌道上に光トラップされた複数粒子に一定の角運動量を与えた際の粒子運動の研究を行なった。この系は粒子間相互作用がある非平衡開放系のモデル系として興味深い。その結果、各粒子には一定の駆動力が印加されているにもかかわらず、粒子を等間隔に配置した初期状態から実験を開始した場合にも、複数の粒子からなるクラスターの形成や破壊が自発的に起こり、隣接粒子間の角度差や各粒子速度の平均速度からのゆらぎにリミットサイクル振動が現れることがわかった。さらに、実験的に得られた結果を線形安定性解析および流体力学相互作用を考慮した運動方程式によるシミュレーションとの比較を行い、この系の時空間ダイナミクスを議論した。さらに、粒子の運動方向を周期的に変化させた場合やサイズの異なる粒子を用いた場合の運動に関しても実験を行い、新たな知見を得ることに成功した。 (2)有限サイズコロイド結晶の融解ダイナミクス 光ピンセットはメソスコピックスケールの局所熱源として利用できる点に注目して、温度勾配により物質移動が誘起されるSoret効果を用いて、有限サイズの2次元コロイド結晶を作成した。結晶形成後、レーザー照射を止めて結晶の融解過程のダイナミクスを観測した。この際、局所粒子密度、局所隣接配置数、局所隣接配向秩序、局所短時間平均2乗変位の空間的・時間的変化を測定することに成功し、均一系での融解現象との違いを明らかにした。
|
Research Products
(50 results)