2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小河 正基 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (30194450)
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Keywords | マントル対流 / 比較惑星 / マントル進化 / プレート・テクトニクス / 火成活動 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
まず、冥王代から太古代中期ころまでの地球におけるマントルの内部構造とマントル対流の数値シミュレーションを実行した。この結果、この時期のマントルに含まれる豊富な放射性元素による強い内部加熱のため、(1)現在のマントルのーつの大きな特徴であるスーパープルームが不安定となり、マントル深部から地表面まで届くバーストとも言うべき大規模な上昇流が頻発したこと、(2)このバーストの結果、プレートは、現在のような差し渡し数千kmという大きなものは存在できず、小さな断片に分かれてしまったこと、(3)このプレートの断片は、現在の秩序だった運動とは異なり、カオティックな運動をしたことを予測した。この結果は、太古代中期までの地球を理解する上で本質的に重要なものである。太古代に形成された大陸の近年の野外調査により、およそ27億年以上前の地球には、現在見られるような大陸は存在せず、伊豆・小笠原諸島に見られるように、海の真ん中に沈み込み帯が多数発達し、その沈み込みによる島弧火山のため、小さな陸片が多数形成され巽ことが明らかにされた。この事実は、地球は無数の小さなプレートの断片に覆われていたことを意味する。本研究により、なぜ初期地球にいて、プレートテクトニクスがこのような形態となったのかが明らかになった。次に、現在の穏やかに内部加熱されているマントルについても同様の数値シミュレーションを行い、近年地震波トモグラフィーにより明らかになりつつある様々な形態のプルームを数値モデルの中で再現することに成功した。さらに、昨年度までに筆者が構築した数値モデルを、プレートテクトニクスの起こっていない月・火星にも応用し、これらの惑星のマントル進化は、形成直後の高温で組成的に不均質な状態から、より冷たく均質な状態への単調な緩和として理解できることを予測した。
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Research Products
(2 results)