2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小河 正基 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (30194450)
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Keywords | マントル進化 / プレートテクトニクス / 地球史 / 火星の進化 / 水の循環 / 火成活動 |
Research Abstract |
第一に、昨年度に引き続き、地球のマントルの熱化学的状態が、地球の歴史とともにどのように発展したかを解明することを目的とした数値モデリングを遂行した。昨年度の研究では、水を含まないマントルにおいて、放射性元素による内部加熱の強さを時間的に一定として、発現する力学的・熱化学的状態を調べた。主な結果は、地球史初期の内部熱源が強かった時代には、沈み込んだ海洋地殻は、その強い内部加熱による熱的浮力の結果、頻繁にプルームとなって上昇し強い火成活動を引き起こすと同時にプレート運動をカオティックにするが、地球史後期に入ると、内部熱源が弱まり、沈み込んだ海洋地殻は安定な「溜まり」をコア・マントル境界上に作り、この「溜まり」が間欠的なプルーム火山活動と秩序だったプレートテクトニクスを引き起こすと期待されるというものであった。今年度は、この二つのマントル対流のレジームの間の遷移過程を解明するため、時問発展型のマントル進化の数値モデリングを開始した。また、従来から、マントルの進化に重要な役割を果たしたと期待されてきた水の循環をモデルの中に取り込み、地球史初期のレジームにおいては、地表面に豊富に存在する水は、ほとんどマントルには還流しないが、後期のレジームにおいては、30億年程度の時間スケールで効率よく還流すること、従って、現在マントル中の水の含有量は増加の過程にあり、その分、海洋の水の総量は減少しつつ有ることを示唆する結果を得つつある。 第二に、少なくとも最近の40億年プレート・テクトニクスが起こっておらず、地殻のマントルへのリサイクルがなかった火星について、マントル進化の時間発展型の数値モデリングを開始した。その結果、昨年度の期待通り、マントルの放射性元素は火成活動により効率よく地殻に濃集し、マントルは急速に冷却し、火成活動も火星史初期に短期間のうちに減衰したと期待されるという結果を得た。
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Research Products
(2 results)