2009 Fiscal Year Annual Research Report
広帯域観測データの精密解析に基づくゆっくり地震の物理過程解明
Project/Area Number |
20340115
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井出 哲 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (90292713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今西 和俊 産業技術総合研究所, 研究員 (70356517)
汐見 勝彦 防災科学技術研究所, 主任研究員 (20500375)
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Keywords | ゆっくり地震 / 深部低周波微動 / 時間関数 / 震源決定 / 地震観測 |
Research Abstract |
昨年度構築したデータ保存システムを用いて深部低周波微動連続データを分析、その時間関数の統計的性質を明らかにした。微動時間関数は一見ランダムであるが特徴的時定数を持つブラウン運動として解釈可能であり、その時定数は場所に固有な性質と考えられる。連続データからインバージョンによって時定数に求める理論と手法を開発し、適用した。試験的に南海とカスケードの微動に適用したところ、カスケードの微動は南海の3-10倍程度長い時定数を持つことが明らかになった。これは両地域のゆっくり地震発生領域のサイズの違いを反映していると考えられる。この結果について、各種学会において発表、議論するとともに論文を執筆、現在Journal of Geophysical Research誌に投稿中である。また昨年度開発した「相関総和相対震源決定法」を日本全国の低周波地震データに適用した。東海地方から四国西部までの約2000個の低周波地震の相対震源位置を精密に決定することに成功した。その結果沈み込むフィリピン海プレートの傾斜に沿った低周波地震の震源分布が見られ、これは低周波地震がプレート境界のすべり運動であるという説を強く支持する。この結果も各種学会において発表、議論した。その一部はGeophysical Research Letter誌において公表し、さらに詳細な結果の公表を準備中である。それ以外にゆっくり地震に関わる総説を2編地震およびScience誌に公表した。愛知県内の臨時地震観測点における観測は1点オンライン、1点オフライン収録を継続中であり保守点検のための出張を行った。
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