2009 Fiscal Year Annual Research Report
液相を含む多結晶体の流動特性および地震波特性に対する実験的・理論的研究
Project/Area Number |
20340117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武井 康子 The University of Tokyo, 地震研究所, 准教授 (30323653)
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Keywords | 固体地球物理学 / 地殻マントル物質 / 地震波減衰 / 非弾性 / 部分溶融岩石 / 粒界すべり / 多結晶体 |
Research Abstract |
(1)部分溶融岩石の力学構成則を導出し、ミクロな内部構造がマクロな弾性や粘性に与える影響を定量的に明らかにした。その結果、粘性はミクロな内部構造に敏感であり、微小量の流体の存在が粘性に大きく影響し得ることや、粒子スケールでの構造の異方性が粘性の異方性を生じることが分かった。粘性に異方性があると、せん断変形と流体移動に相互作用が生じ、流体による変形の潤滑などが起こることが分かった。これまで流体移動の研究は等方的な媒質においてのみなされてきたが、媒質の異方性を考慮することで、変形と流体移動の描像が大きく変わる可能性がある。 (2)岩石のアナログ物質を用いた強制振動型の変形実験を、10-0.1mHzの広帯域かつ微小歪(10^-6)で行うことの出来る実験装置を開発した。このアナログ物質(有機物の多結晶体)は融点が204℃であるため、26℃がオリビン結晶体の1100℃に相当する(規格化温度0.6)。今年度の一番の成果は、アナログ多結晶体の26℃における非弾性特性を測定し、オリビン結晶体の1100℃における非弾性特性と非常に良く似ていることが確認できたことである。また、多結晶体の粒径を系統的に制御する手法を確立し、粒径依存性についての詳細なデータを取得できた。粒径依存性の解明は、まだ良く分かっていない非弾性のメカニズムの解明に重要な役割を果たすと期待される。 (3)実験データに特徴的に見られる周波数依存性、粒径依存性を理論的に説明することを目指して、「弾性変形により補償される粒界すべりモデル」を二次元で構築した。
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Research Products
(8 results)