2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20340119
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平原 和朗 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40165197)
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Keywords | レシーバ関数 / 地震波不連続面 / スラブ / 地震波トモグラフィー / 地震波3次元速度 / 変換波 / 流体 |
Research Abstract |
レシーバ関数(RF)は、遠地実体波P波初動後続波部分に含まれる、観測点下での地震波不連続面でのP波からS波への変換波を有効に取り出すものである。RFに含まれるPS変換波を成層構造を仮定してマッピングして地震波不連続面を求める従来の方法では、九州地方下に急角で沈み込むフィリピン海スラブのような場合、マッピングされたスラブ上面は地震分布から推定されたものと大きく食い違う。そこで、成層構造から出発して、PS変換面を推定し、その推定した傾斜した面を波線計算において考慮する新たな手法の開発を行い、これらの作業を繰り返すことで、急角で沈み込むスラブにおいても正しくスラブ沈み込みの形状を推定することに成功した。また、このマッピングには速度構造は特に大きな役割を果たしていず、速いスラブ速度構造を用いなくてもある程度形状推定が可能であることも見出した このマッピングの改良は、RFと地震波トモグラフィーを組み合わせたRFトモグラフィー手法の開発において大きな意味を持つ。RFトモグラフィーでは、まずマッピングにより地震波不連続面の形状を求め、次にこの形状および速度構造を仮定して、RFに含まれるPS変換波の走時および振幅を満たす、境界面での速度コントラストを求めようとするもので、ここで開発した手法はRFトモグラフィーを大きく前進させた。 また、本研究で開発したマッピング手法を用いたRF研究によって、九州下に沈も込むフィリピン海スラブによって持ち込まれた流体の構造を明らかにし、流体の移動について論じた。
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