2011 Fiscal Year Annual Research Report
4次元GPSトモグラフィーによる地震動に伴う電離層内短周期波動現象の解明
Project/Area Number |
20340123
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
大林 政行 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 主任研究員 (30359179)
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Keywords | 大気波動伝播 / 電離層擾乱 / 地震が発生する大気波動 / GPS-TEC擾乱 / 大気境界波 / 大気重力波 / 長周期音波 / 2011年東北沖太平洋地震 |
Research Abstract |
大気波動伝搬計算コード開発をすすめ、現実大気の水平密度成層構造で、重力波やラム波、音波に対応するモード計算が、ハスケル行列法を用いて可能となった。大気波動の長時間・長距離伝搬の計算に必要な放射境界条件について、音波と重力波の区別なく任意の波動に対して、周波数領域と時間領域ともに適応可能な基本原理を発見した。この計算コードは、解析解を用いており、モード計算が非常に高速であるという特徴がある。また、モード計算だけでなく、下層から上層への周波数・波数領域での伝達関数として利用が可能で、広い周波数・波数領域で伝達関数が求められれば、時間・空間領域の波動を一気に計算することが可能となる。 2011年東北沖太平洋地震では巨大津波と共に大気波動が発生し、GPS TECやHFドップラー探査により電離層擾乱として各種観測の報告が相次いだ。非常に長周期(約500秒)でほぼ音速で伝搬した大気波動は日本国内をはじめ、ロシア極東で観測された。その圧力波形は、沖合の海底ケーブルで計測された津波波形とよく似ており、津波起源と大気波動の起源が同一の海面隆起であること、また長周期の大気波動がほとんど分散せずに音速で伝搬したことから、大気境界波として伝搬したことが分かった。波形の方位依存性から津波波源とおなじく南北に伸びた大気波波源であることが推定された。また、津波が沿岸に到達する時刻より前に日本の陸上で大気波動が到達していた。これらの内容をまとめて国際誌に発表した。
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