2011 Fiscal Year Annual Research Report
金星大気のモデリングによるスーパーローテーションの解明
Project/Area Number |
20340126
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
松田 佳久 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60134772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 征弘 東京大学, 理学系研究科, 助教 (00323494)
今村 剛 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (40311170)
橋本 成司 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (10372658)
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Keywords | 金星大気 / スーパーローテーション / 大気放射 |
Research Abstract |
金星は自転が非常に遅い(自転周期243日)のに対して、大気は雲層(45-70km)上部で、自転速度の約60倍で回転している。これが金星大気スーパーローテーションであるが、この原因がいまだに解明されていない。これまでの研究によって、雲層付近で励起される熱潮汐波がスーパーローテーションを生成する可能性が示されているが、金星大気に適用可能な放射輸送モデルを用いて力学モデルを改善することが必要であった。金星大気は光学的に非常に厚く、温室効果の影響で大気下層は高温高圧(92気圧、730K)になっている。しかしながら、このような大気に適用可能な放射輸送モデルは、これまで存在しなかった。本研究では最新の分子分光データに基づき、金星大気にも適用可能な、精密な放射輸送モデルを開発することに成功した(Takagi et al. 2010)。今年度はこの放射輸送モデルをTakagi and Matsuda(2007)の大気大循環モデルに組み込み、金星大気大循環の数値実験を行った。その結果、太陽加熱の日変化を無視した場合、太陽加熱によって励起される平均子午面循環は0-15km付近の高度と雲層付近の高度の鉛直方向に2セルの構造を取ることが示された。Gieraschメカニズムに着目したこれまでの研究(Yamamoto and Takahashi 2003 など)では、地面から雲層上端付近まで達する巨大な平均子午面循環が大気スーパーローテーション生成の鍵になっていたが、精密な放射輸送モデルを用いた本研究の結果は、そのような巨大な子午面循環が金星大気中には実在しないことを示唆している。熱潮汐波メカニズムを放射輸送を改善したモデルで検証することは今後の課題である。
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Research Products
(13 results)