2009 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素の鉛直分布測定のための実用ライダー技術の開発
Project/Area Number |
20340130
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
永井 智広 Japan, Meteorological Research Institute, 気象衛星・観測システム研究部, 主任研究官 (30343891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長澤 親生 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (80145664)
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Keywords | 二酸化炭素 / ライダー / 二酸化炭素鉛直分布 / 地球温暖化 / 光パラメトリック発生器 / 光パラメトリック発振器 / DIAL / 差分吸収法 |
Research Abstract |
受信系の開発について、新たに開発され昨年度入手した高感度の固体検出素子を用いたライダー受信部の開発を行った。今回入手した自己増幅型の固体検出器(Near InfraRed Discrete Amplification Photon Detector : NIRDAPD)は、従来の素子(InGaAs APD : APD)と比べ10^4倍程度の利得を持っているため、APDでは不可能であったリニアモード動作で光子計数法を適用することが可能となっている。量子効率は8~20%であり、この素子を使ったライダー受信部を作成し、ライダー信号の受信実験を行った。その結果、量子効率は期待通り高く、光電子増倍管の数倍の効率を持っているが、反面、素子自体が持つ背景雑音が多く、量子効率が良い程にはS/N比が向上しないことが分かった。しかしながら、NIRDAPDの受光面が直径200μmと狭いため、現状では光学的なアライメントが不十分な可能性があり、さらに向上の余地がある。また、本年度になって冷却型NIRDAPDが開発されており、冷却型の素子を使用することでNIRDAPDの弱点である背景雑音が低減され、よりライダー受信部に適した素子となっている可能性が高い。 送信系の開発について、昨年度開発したLD励起Nd:YAGレーザーにより励起する光パラメトリック発振器(Optical Parametric Oscillator : OPO)レーザーについて、出力特性、波長安定性を調べたが、特に波長安定性に問題が有ることが明らかとなった。そこで新たに擬似位相整合結晶の特徴を十分考慮した、共振器を持たない光パラメトリック発生器(Optical Parametric Generator : OPG)方式を用いたレーザーシステムを再構築した。この結果、波長ロック機構が不要となり波長の安定性が格段に向上するとともに、出力特性も改善した。また、耐久性、出力の経時劣化など、長期使用時の問題は現時点で発生していない。
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