2008 Fiscal Year Annual Research Report
強い堆積物分散営力のもとで発達する陸棚デルタ系の実験オート層序学
Project/Area Number |
20340140
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
武藤 鉄司 Nagasaki University, 環境科学部, 教授 (70212248)
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Keywords | デルタ / 河川 / 陸棚 / 海水準 / 波浪 / 実験 / 国際情報交換 / オート層序学 |
Research Abstract |
オート層序学は堆積系のオートジェニックな地層地形形成過程と大規模非平衡応答の理解に根差した新しい成因論的層序学の枠組みである。本研究は,モデル実験の手法により,これまで河川営力の極端に優勢なデルタだけを対象にして構築されたオート層序学を強い堆積物分散営力のもとで成長する陸棚デルタ系へ拡張することを目的としている。平成20年度は,撤収・再組み立て可能な水槽(西日本流体技研製;長さ6.0m×幅3.0m×深さ60cm)を長崎大学内に新設し,また筑波大学陸域環境研究センターの造波水路を使用して,強い堆積物分散営力下での,(1)オートジェニックな平衡河川の実現条件,(2)ギルバート型デルタから水中デルタへの必然的変遷を予言する Swenson Modelの検証,(3)海水準上昇期のデルタ水中斜面上で生ずるオートステップの変形,(4)海水準下降期における沖積河川のオートインシジョン及び自己組織的河岸段丘の生成過程への影響を中心に調べた。このうち,(2)については,Swenson Modelが想定しているスケールが実験的検証に向かないことが判明し,別の手法による検討方法を模索することとした。Swenson Modelを検証するためには長さが少なくとも数百メートル規模の造波水槽が必要である。(1),(3),(4)については,当初予想していた結果とほぼ同じレベルの成果が得られ,来年度の研究へ向けての大きな足掛かりができた。オートジェニックな平衡河川は強い堆積物分散営力のもとでも生成可能である。オートステップはあまりに波が強いと完全に消失するが,適度の波浪営力下ではその影響を半ば残しつっ特異な中間的地形を生成する。オートインシジョン及び自己組織的河岸段丘は強度の波浪営力下でも生成可能である。波浪営力が強まるほど,オートインシジョンの時期は早くなる傾向が察せられた。
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Research Products
(6 results)