2009 Fiscal Year Annual Research Report
深層水ソースの変換は気候変動を増幅するか抑制するか:硫黄同位体比の海洋事変層序
Project/Area Number |
20340144
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長谷川 卓 Kanazawa University, 自然システム学系, 教授 (50272943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田近 英一 東京大学, 理学系研究科, 准教授 (70251410)
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Keywords | 硫黄同位体比 / 炭素同位体比 / 安定同位体比 / 炭酸カルシウム / 層序 |
Research Abstract |
21年度は,代表者の長谷川は主に,前年度に導入した安定同位体比質量分析装置の立ち上げ,調整を行った.申請書に記載の通り,低コストの研究を目指し,中古品(オーバーホール品)を導入したため,実際の運用のためのコンディショニングに時間を要している.機器は,高価な消耗品の関係上,頻繁に炭素分析と硫黄分析のモードを変更することはできないため,前年度末に開始した炭素分析モードでの調整を継続して行い,実際に堆積物の有機炭素の同位体比分析を行った.その結果,炭素分析では常に±0.1‰前後での分析ができ,北海道やニュージーランドなどの白亜紀海洋無酸素事変OAE2に相当する時代の堆積物試料の炭素同位体比変動を明らかにすることができた(公表論文欄).西部太平洋の北半球中緯度に位置する日本と対を成す,南半球高緯度のニュージーランドの堆積物についてOAE2相当層準を特定できたことは,当時の深層水の循環がどのように変化したのかを考察するうえで重要である.また堆積岩中の硫黄の挙動については,手取層群の試料を用いて考察を行い,論文として公表した(公表論文欄).21年度後半には,質量分析装置を硫黄同位体比測定のためのセッティングに変更を行った.22年度は主にODP試料を用いて炭酸塩に包含される硫酸態硫黄(CAS)の同位体比分析を行うが,その準備が整った.分担者の田近は既存のデータを用いて,白亜紀の海洋無酸素事変や古第三紀の暁新世-始新世温暖化極大事件(PETM)の海洋循環に関連したモデリングについて研究を行った.
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] High resolution carbon isotope stratigraphy across the Cenomanian/Turonian boundary in the Tappu area, Hokkaido, Japan : correlation with world reference sections2010
Author(s)
Hasegawa, T., Seo, S., Moriya, K., Tominaga, Y., Nemoto, T., Naruse, T.
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Journal Title
Science Report of Kanazawa University 54
Pages: 49-62
Peer Reviewed
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