Research Abstract |
金沢大学予算により,新しい質量分析装置が入り,初年度に購入した同位体質量分析装置を硫黄同位体比測定専用にする条件が揃ったので,長谷川は,分析システムの構築・確立を進めた.また新しい分析ソフトウェアのインストールも行い,硫黄同位体比を連続測定する体制が整った.その手法の構築,手順に関しても,ほぼ確立できた.硫酸態硫黄の同位体比測定を,硫黄同位体比測定専用装置により連続的に(かつ自動で)行うことができ,国内の研究施設は数少なく,古環境分析用として同装置が確立したことは,日本の古環境解析に硫黄同位体比法を導入し,普及させていく上で非常に意義がある,現在,ODP Leg208の試料について,特に新生代全体を通じて分析を進める計画を立て,測定を進めている.炭酸塩の炭素・酸素同位体比分析は,金沢大学予算により導入した質量分析装置により分析を進める予定であるが,装置の調整が終了していない 硫黄の含有量を,海洋環境の指標とする手法については,北陸地域に分布するジュラ-白亜系手取層群を用いて手法開発を行い,さらにそれを応用して海水(または汽水)か淡水かを評価することが可能になった.これはHasegawa et al.(2010)として公表した.この手法は海洋の貧酸素化の評価も行うことができると期待され,海洋事変の評価への応用を見込む. 共同研究者の田近は海洋深層循環に関連して極度の無酸素状態ができる条件について,モデル構築の面から研究を進め,Ozaki et al.(2011)などの論文を公表した.
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