2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子最適制御シミュレーション法の大幅な拡張と実用化に向けた基盤研究への展開
Project/Area Number |
20350001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大槻 幸義 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授 (40203848)
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Keywords | 量子最適制御 / 分子整列 / コヒーレント制御 / 楕円偏光 / 非マルコフ緩和 / 多光子遷移 |
Research Abstract |
2008年度は分子整列制御による, 巨視的な非等方媒質の生成を中心に研究を行った. その結果, 直線偏光を仮定したマイクロ波領域において, 誘導ラマンポンピングと2光子吸収過程間の強めあう干渉を利用した制御機構が最適解であることを明らかにした. 暫定的ではあるが, トンネリング波束を局在化する方法として提案されていた「Coherent Destruction of Tunneling(以下CDTと記す)」が誘起双極子モーメント保持法としても有効であることが新規最適シミュレーション法により強く示唆された. 以上の成果は雑誌Journal of Chemical Physicsに投稿・掲載された. 同様の結果は, パルス整形が実験技術として最も進んでいる中心周波数800nm付近でも成り立つことを確認した. 偏光条件については「偏光条件固定型」と「偏光条件も含めた最適化」の2通りのアプローチを進めている. 後者に関しては, 既にシミュレーションにより有効性を確認している. 非マルコフ緩和に関しては, 散逸由来の積分核を高速に計算するアルゴリズムの開発に成功した. 振動・回転両自由度を取り入れ, かっ緩和効果を含めたシミュレーションを行い, 回転1周期程度の短時間で整列制御を達成することで, デコヒーレンスを抑制できることを明らかにした. 以上をまとめることで, 計画の第1ステップである種々の条件下での整列制御を達成することができる. 次のステップである多光子遷移制御に関しては, 光子数選択的に遷移を誘起するアルゴリズムを既に開発し, 準備評価を完了した. これと上記非マルコフ緩和計算アルゴリズムを組み合わせれば, 凝縮相中に分散ドープされた試料分子に対する多光子遷移制御機構を明らかにできると期待される.
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Research Products
(11 results)