2010 Fiscal Year Annual Research Report
遷移状態を配向制御した化学反応による立体効果の直接観測と発現機構の解明
Project/Area Number |
20350006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笠井 俊夫 大阪大学, 名誉教授 (20152613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔡 徳七 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20273732)
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Keywords | 反応遷移状態 / 配向OH分子ビーム / 反応分岐 / 衝突錯合体 / 準安定CO分子ビーム / アライメント選別 / 偏光レーザー |
Research Abstract |
化学反応は、反応系から必ず遷移状態を経て生成系へ至る。従って反応遷移状態における衝突錯合体の幾何構造や振動・回転などの内部状態分布は反応速度や反応分岐に大きな影響を及ぼす。我々は反応物分子の配向を制御し、そのもとで反応を開始させることで遷移状態における衝突錯合体の構造を制御し、このような反応制御ではじめて反応速度と反応分岐の発現機構が解明できるので、このことを研究目的とした。 1. 本研究では、反応物OHラジカルの配向を配向分子線法により選別し、OH+HBr反応におけるBr生成反応のOHラジカル配向依存性について調べた。実験の結果、まずOHのO端がHBrが衝突するとき最も反応性に富むことがわかった。ルジャンドル・反応モデルに基づきBr生成反応の立体オパシティー関数を求めたところ、OHのO端のみならずH端との衝突も反応性をもつことがわかった。これは遷移状態において、OHとHBrの衝突錯体に二つの安定構造が存在していることを示唆するもので、まったく新たな知見であり速報誌PCCP(communications)に発表した。 2. 上記1で得た遷移状態における衝突錯合体の構造と反応性の相関関係をより一般化し普遍化するため。我々は、準安定状態のCO(a)を直線偏光レーザーを用いて、アライメント状態を制御したCO(a)を生成させる手法を確立した。これはアライメント状態を選別OH+HBr反応の解明を補完する実験である。現在、OH+CO(a)反応の分子配向依存性の解明を通して反応分岐の機構解明が可能であることを実験的に明らかにすることができた。
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Research Products
(7 results)