2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水谷 泰久 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (60270469)
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Keywords | エネルギー移動 / 共鳴ラマン分光法 / 時間分解分光法 |
Research Abstract |
タンパク質内エネルギー散逸を時空間マッピングするというのが本研究の目的である。ヘムタンパク質内のヘムを、光励起により振動励起し、ヘムから周囲のアミノ酸残基への振動エネルギー移動をトリプトファン残基のアンチストークスラマンスペクトルによって観測する。最初に、微弱なアンチストークスラマン散乱光を高感度に観測するために、フィルター分光器を用いた検出系を製作した。 1.チトクロムcチトクロムcはトリプトファン残基を1残基含み、かつそれはヘム近傍にある。このため、ヘムからのエネルギー移動をプローブする系としては最適である。しかし、酸化型チトクロムcを光励起すると、測定中光還元によりわずかながら還元型が試料中に蓄積することがわかった。そこで、試料中にチトクロム酸化酵素をチトクロムcに対して1/1000量加え、還元型チトクロムcを再酸化するようにした。これによって、還元型の蓄積量を無視できる程度に抑えることができた。トリプトファン残基由来のアンチストークスラマンバンドには、ヘムの光励起後、過渡的な強度増大と減少が観測された。また、強度増大の時定数はヘムの冷却時定数とほぼ一致した。これらの結果は、観測されたバンド強度変化が、ヘムからのエネルギー移動によるものであることを示している。 2.ミオグロビンタンパク質内エネルギー移動の観測に適したミオグロビン変異体を作成した。この試料について測定を行ったところ、チトクロムcと同様にアンチストークスラマンバンドの過渡的な強度増大と減少が観測された。 以上のように、今年度の研究によって、タンパク質内エネルギー散逸を観測する系を確立することができた。今後は、トリプトファン残基の導入位置を変え、エネルギー移動の速度がどのように依存するかを調べていく予定である。
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Research Products
(1 results)