2010 Fiscal Year Annual Research Report
軟X線内殻分光による分子間相互作用系の局所電子構造研究
Project/Area Number |
20350014
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
小杉 信博 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 教授 (20153546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
繁政 英治 分子科学研究所, 極端紫外光研究施設, 准教授 (90226118)
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Keywords | 内殻励起状態 / 分子間相互作用 / 軟X線吸収スペクトル / 局所構造 / クラスター / 光電子スペクトル / イオン化ポテンシャル / 交換相互作用 |
Research Abstract |
軟X線に対する透過吸収分光用の液体セルで定常的に液体の吸収スペクトルの測定を行った。昨年度は軟X線に混入している高次光をデータ処理で除去する方法をとったが、最終年度では金属フィルター、分光器の調整、試料厚みを高次光の影響がでない200-300nmに調整することでデータ処理を行わなくても高次光の影響がほとんど無視できる実験条件をさがすことができた。メタノール液体の炭素内殻吸収を測定したところ、過去のデータは気体が混入した間違ったデータであることがわかった。さらに水との混合状態の測定を行い、局所構造を議論した。また、塩化リチウム水溶液で濃度の変化させたところ、酸素内殻吸収スペクトルに等吸収点があることがわかった。これはリチウムイオン周辺の酸素とそれ以外のバルク水の酸素の2種類があることを示している。さらに温度変化させたところ、後者のスペクトル成分のみ温度変化を示した。これはリチウムイオン周辺の局所構造は温度変化しない(誤差の範囲)ことを示している。 軟X線光電子分光の実験として、液体ビームの手法で水を測定した。液体水には2つの構造があるという解釈もあり、問題になっているが、光電子スペクトルの解析から、最近接構造は氷のような4配位からなる寄与がほとんどであることがわかった。また、クラスターの光電子分光実験として分極率がほぼ同じの窒素とアルゴンの混合系に応用した。分子数は約100個程度で比を変化させて調べた。構造的には混合状態は現れず、アルゴンが中心で窒素が外になることがわかった。 その他、軟X線発光分光法、バルク敏感蛍光収量法を用いて、DNA分子集合体やポリチオフェン薄膜層に応用して、弱い分子相互作用の影響を調べた。
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Research Products
(4 results)