2010 Fiscal Year Annual Research Report
金及びパラジウム触媒の配位子操作による反応性・選択性の飛躍的向上
Project/Area Number |
20350015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 嘉則 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (60029519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 鉄男 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80431493)
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Keywords | 金触媒 / パラジウム触媒 / リン配位子効果 / ヒドロチオル化 / 三成分環化反応 / 連続的環化反応 / D-A-D有機光電材料 / 炭素-炭素多結合活性化 |
Research Abstract |
1. 金触媒を用いたアレンへの位置選択的ヒドロチオル化反応の開拓。 我々は既に平成20及び21年度で当初の研究計画の通り金触媒のπ電子親和性の特徴を巧みに展開することによりアレン化合物のヒドロアミノ化およびヒドロアルコキシ化反応の開発に成功した。平成22年度では、金触媒を用いたアレンへのヒドロチオル化反応を行った。その結果、触媒量のAuBr_3の存在下、これまでのヒドロアミノ化及びヒドロアルコキシ化反応と異なり、二つの芳香族チオルが芳香族置換基を有する末端アレンの中心炭素に付加し、様々なチオアセタールが穏やかな反応条件下(5℃)速やかに生成することを見出した。 2. パラジウム触媒を用いた三成分反応による多置換シクロペンテンの合成。 触媒量のPd_2(dba)_3CHCl_3とP(o-tol)Ph_2配位子およびMS4Aの存在下、プロパギールトリフロロアセタートとエチリデンマロニトリルのジクロロメタン溶媒中にアリールトリブチルスタナンの滴下すると様々な多置換シクロペンテン生成物が効率的に得られることを見出した。本反応は、まずパラジウムとリン配位子の最適条件によりプロパギールトリフロロアセタートからアレニルパラジウム中間体を形成し、アリールトリブチルスタナンのアレンの中心炭素への求核反応によりパラジウムカルベン活性種が生じる。生じたカルベン活性種は活性アルケンであるエチリデンマロニトリルと反応しπ--アリールパラジウム中間体を形成する。分子内π--アリールパラジウム中間体への求核付加反応により望みのアリール置換基を有する多置換シクロペンテン生成物が得られた。 3. 金触媒を用いたアリルジインの連続環化反応によるD-A-D有機材料の合成。 我々はアニリン骨格を有するアリルジインがNaAuCl_4触媒の存在下連続的環化反応が進行し、対応するアリルまたはチエニルカルバゾール骨格が効率的に得られることを見出した。さらに2,1,3-benzothiadiazole(BT)を有するテトラジイン出発物質から同様の反応条件かBTをアクセプター部位とし、チエニルカルバゾールをドナー部位とした新規D-A-D化合物を一気に効率的に合成した。サイクリックボルタンメトリ(CV)及び吸収の測定により新規化合物の物性と電子機能性を調べた。その結果、低いHOMOレベルと狭いバンドギャップから有機トランジスター及び有機薄膜太陽電池のドナーとしての応用が期待されている。
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Research Products
(7 results)